2010.03.31 (Wed)
4月の魚はしょっぱいぜ
まいったね。
4月バカには、まいったね。
あす4月1日と言えば、年度始めの日。新学期や新年度で新入生や新社会人が新天地で新生活をはじめるという興味シンシンな日だ。
しかし、これは日本に限っての話。欧米をはじめとする多くの国々で、新学期ってのは9月ごろ始まるからな。
世界的にはやはり、4月1日といえばやはり、エイプリル・フールということになる。
ご当地フランスにも、もちろんこの習慣は存在する。それどころか、どうもエイプリル・フールの起源はフランスにあるらしいぜ。
ま、そのへんはおいおい触れるとしてだ。日本とフランスでは、ちょいと少し趣向が違うのよ。
まず、呼び方が違う。フランスではこの日を「ポワソン・ダブリル」と言うんだぜ。英語にすれば fish of April ってなところか。直訳すると「4月の魚」だな。
なぜこういう呼び方をするかと言うと、ウソを付かれて信じ込み、4月バカだと明かされてええっと驚いたときにみんなが口をパクパクさせるからだ。その様子がいかにも魚みたいだってんで、そういう名前が付いたんだとさ。
なーんて、うっそーん。
番長からのプチ・ポワソン・ダブリルだぜ。
日本ではエイプリル・フールと言えばなんでもウソをついていい日、って位置づけだよな。
フランスでも基本は変わらんが、ウソをついてもいいというよりは、ウソを含めてイタズラをしても許される日、人をからかってもいい日、って感じなんだな。
子どもたちの間で4月1日に行われる定番のイタズラが、魚の絵を描いた紙にテープなんかを付け、誰かの背中にこっそり貼るってヤツだ。

(仏サイト「linternaute」より、イタズラに使われる魚の例)
日本でもあるよな、「バカ」とか「僕はパンツをはいていません」とか書いた紙をこっそり張り付けるイタズラ。ひょっとするとフランスから伝わったものだったりして。まあ、誰でも思いつきそうだけどもよ。
この魚張り付けの風習自体は七夕みたいなもんで、子どもたち以外でやってる例はあまり見かけない。むしろ、他愛ないウソを付いて親しい人を騙すという、日本と同じようなやり方の方が主流だな。
さてその起源なんだが。かつてフランスでは4月1日から新年が始まっていて、人々は互いにプレゼントを贈りあう習慣があったそうだ。
ところが1564年、フランス国王シャルル9世が「1月1日を新年とする」と決めちまった。なんだよ勝手なことしてんじゃねえよと民衆は反発。変わらず4月1日にプレゼントを贈り続けた。
でもまあ一応国王の手前もある。「え? いやいや新年の贈り物じゃないかだなんて、滅相もない。単なるジョークですよ、ジョーク」ってなことになって、ワッハッハと笑えるようなものを贈るようになったそうだ。紙の魚はそこから来ているらしい。
と言うのも、当時のキリスト教徒、要するに大多数のフランス国民は、宗教的な理由から肉食を禁じられていた。でも魚はOKだったんだな。だから魚は大切な人への贈り物としてとても一般的だったんだそうだ。
今の日本で言えば、桐箱をあけたら中から紙に書いたハムが出てきたよ、ってな感じかな。
ただこの話、諸説あって、細かいところはいろいろ違ってるのよ。
そのシャルル9世が新年の改正に反対した人々を見せしめに殺害したので忘れないように始めただとか。いつまでたっても4月1日に新年のお祝いをしている連中をバカにしたのが始まりだとか。
魚を張り付ける風習にしても、フランスでは通常4月1日から漁が解禁になる、つまり魚が世間に流通していない時期だから使われるという話もある。また、このときに使われる魚ってのがサバなんだが、サバはこの時期釣り糸さえ垂れればバカみたいに引っかかるからだとかいう説もあるんだと。
さすがに4月バカだけあって、起源もウソっぽい話ばっかだな。しかも、どれを取ってもいまひとつ面白くないというか、ピンと来ない感じがまた何とも言えんね。
とまあ、そんなポワソン・ダヴリル。店頭には魚の形をしたチョコレートが並ぶ。このチョコってのがモノによっちゃなかなか凝ってて、でっかい魚のチョコの中が空洞になっていて、ちっちゃい魚のチョコがたくさん入っていたりするんだな。
人によっては、魚をあしらったカードを友人に送ったりするそうだ。番長は見たことねえけど。
あと、テレビがニセモノのニュースを流したりだとか、インターネットにジョークサイトが現れたりとかいうのは、もちろんあるぜ。
だが、総じて言えば、さして盛り上がってるという感じはしないな。
と言うのも、フランスでは暦の関係で、4月1日ってのは毎年必ず復活祭の近くにくる。こいつは移動祝日ってヤツで、「3月22日から4月25日の間のいずれかの日曜日」なのよ。
復活祭はキリスト教世界ではクリスマスに並ぶ一大イベントだ。どうしたってその前じゃかすんじまうのよ。
さっきチョコレートの話をしたが、正直言って魚のチョコより、復活祭に使われるタマゴ型のチョコの方がずっとメジャーな存在だぜ。
言ってみりゃ、ドカベン山田太郎に対する微笑三太郎みたいな役回りだな。なに、わからない? うーん、嵐の桜井くんに対する大野くんみたいなところか。
いや、まいったね。
イマイチしょっぱいポワソン・ダヴリル。魚は単なる塩味より、しょうゆとわさびでいただきてえところだな。

4月バカには、まいったね。
あす4月1日と言えば、年度始めの日。新学期や新年度で新入生や新社会人が新天地で新生活をはじめるという興味シンシンな日だ。
しかし、これは日本に限っての話。欧米をはじめとする多くの国々で、新学期ってのは9月ごろ始まるからな。
世界的にはやはり、4月1日といえばやはり、エイプリル・フールということになる。
ご当地フランスにも、もちろんこの習慣は存在する。それどころか、どうもエイプリル・フールの起源はフランスにあるらしいぜ。
ま、そのへんはおいおい触れるとしてだ。日本とフランスでは、ちょいと少し趣向が違うのよ。
まず、呼び方が違う。フランスではこの日を「ポワソン・ダブリル」と言うんだぜ。英語にすれば fish of April ってなところか。直訳すると「4月の魚」だな。
なぜこういう呼び方をするかと言うと、ウソを付かれて信じ込み、4月バカだと明かされてええっと驚いたときにみんなが口をパクパクさせるからだ。その様子がいかにも魚みたいだってんで、そういう名前が付いたんだとさ。
なーんて、うっそーん。
番長からのプチ・ポワソン・ダブリルだぜ。
日本ではエイプリル・フールと言えばなんでもウソをついていい日、って位置づけだよな。
フランスでも基本は変わらんが、ウソをついてもいいというよりは、ウソを含めてイタズラをしても許される日、人をからかってもいい日、って感じなんだな。
子どもたちの間で4月1日に行われる定番のイタズラが、魚の絵を描いた紙にテープなんかを付け、誰かの背中にこっそり貼るってヤツだ。

(仏サイト「linternaute」より、イタズラに使われる魚の例)
日本でもあるよな、「バカ」とか「僕はパンツをはいていません」とか書いた紙をこっそり張り付けるイタズラ。ひょっとするとフランスから伝わったものだったりして。まあ、誰でも思いつきそうだけどもよ。
この魚張り付けの風習自体は七夕みたいなもんで、子どもたち以外でやってる例はあまり見かけない。むしろ、他愛ないウソを付いて親しい人を騙すという、日本と同じようなやり方の方が主流だな。
さてその起源なんだが。かつてフランスでは4月1日から新年が始まっていて、人々は互いにプレゼントを贈りあう習慣があったそうだ。
ところが1564年、フランス国王シャルル9世が「1月1日を新年とする」と決めちまった。なんだよ勝手なことしてんじゃねえよと民衆は反発。変わらず4月1日にプレゼントを贈り続けた。
でもまあ一応国王の手前もある。「え? いやいや新年の贈り物じゃないかだなんて、滅相もない。単なるジョークですよ、ジョーク」ってなことになって、ワッハッハと笑えるようなものを贈るようになったそうだ。紙の魚はそこから来ているらしい。
と言うのも、当時のキリスト教徒、要するに大多数のフランス国民は、宗教的な理由から肉食を禁じられていた。でも魚はOKだったんだな。だから魚は大切な人への贈り物としてとても一般的だったんだそうだ。
今の日本で言えば、桐箱をあけたら中から紙に書いたハムが出てきたよ、ってな感じかな。
ただこの話、諸説あって、細かいところはいろいろ違ってるのよ。
そのシャルル9世が新年の改正に反対した人々を見せしめに殺害したので忘れないように始めただとか。いつまでたっても4月1日に新年のお祝いをしている連中をバカにしたのが始まりだとか。
魚を張り付ける風習にしても、フランスでは通常4月1日から漁が解禁になる、つまり魚が世間に流通していない時期だから使われるという話もある。また、このときに使われる魚ってのがサバなんだが、サバはこの時期釣り糸さえ垂れればバカみたいに引っかかるからだとかいう説もあるんだと。
さすがに4月バカだけあって、起源もウソっぽい話ばっかだな。しかも、どれを取ってもいまひとつ面白くないというか、ピンと来ない感じがまた何とも言えんね。
とまあ、そんなポワソン・ダヴリル。店頭には魚の形をしたチョコレートが並ぶ。このチョコってのがモノによっちゃなかなか凝ってて、でっかい魚のチョコの中が空洞になっていて、ちっちゃい魚のチョコがたくさん入っていたりするんだな。
人によっては、魚をあしらったカードを友人に送ったりするそうだ。番長は見たことねえけど。
あと、テレビがニセモノのニュースを流したりだとか、インターネットにジョークサイトが現れたりとかいうのは、もちろんあるぜ。
だが、総じて言えば、さして盛り上がってるという感じはしないな。
と言うのも、フランスでは暦の関係で、4月1日ってのは毎年必ず復活祭の近くにくる。こいつは移動祝日ってヤツで、「3月22日から4月25日の間のいずれかの日曜日」なのよ。
復活祭はキリスト教世界ではクリスマスに並ぶ一大イベントだ。どうしたってその前じゃかすんじまうのよ。
さっきチョコレートの話をしたが、正直言って魚のチョコより、復活祭に使われるタマゴ型のチョコの方がずっとメジャーな存在だぜ。
言ってみりゃ、ドカベン山田太郎に対する微笑三太郎みたいな役回りだな。なに、わからない? うーん、嵐の桜井くんに対する大野くんみたいなところか。
いや、まいったね。
イマイチしょっぱいポワソン・ダヴリル。魚は単なる塩味より、しょうゆとわさびでいただきてえところだな。

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リンクありがとう! 「鼻くそとフランス」の話、楽しみにしてるぜえ。ところで、なぜスズランなのか、だが。なんでもスズランってのは幸運の花ってことになっているからだそうだ。フランス以外の国でもみられる習慣だそうだぜ。まあ、あの時期きれいに咲くから、ってこともあるんだろうがな!
フランス番長 |
2010.03.31(水) 22:10 | URL |
【コメント編集】
日本で4月初めと言えば、桜がいっせいに咲き始めるし、入学シーズンですからね…。
やっぱ、季節の感じ方が全然違うでしょうね。
桜は、道の並木や学校の近所、あるいは公園にたくさんはえてますけど、4月の初め頃にしか花を咲かせないから良いんでしょうね。
やっぱ、季節の感じ方が全然違うでしょうね。
桜は、道の並木や学校の近所、あるいは公園にたくさんはえてますけど、4月の初め頃にしか花を咲かせないから良いんでしょうね。
あ |
2010.03.31(水) 22:48 | URL |
【コメント編集】
番長さまこんにちは。いつも楽しく拝見しております。
ポワソンダブリルの魚は、星占いの魚座から来ているという説を聞いたことがあります。私が聞いたのは、季節はおひつじ座に切り替わってるのに、まだ魚座のつもりでいる人を笑ったことから来てるとか。
しょっぱい魚といえば、オイルサーディン。フランスにオイルサーディン型のチョコレートも売ってますよね!
ポワソンダブリルの魚は、星占いの魚座から来ているという説を聞いたことがあります。私が聞いたのは、季節はおひつじ座に切り替わってるのに、まだ魚座のつもりでいる人を笑ったことから来てるとか。
しょっぱい魚といえば、オイルサーディン。フランスにオイルサーディン型のチョコレートも売ってますよね!
ねね |
2010.04.01(木) 02:57 | URL |
【コメント編集】
桜は確かに素晴らしい日本の風物詩だな。1年のこの季節、わずかに数日の間のためだけにあのでっかい木を育てるわけだから。あれは日本にしかない美しさだと言えるだろう。対してフランス……うーん、少なくとも桜はそんじょそこらにあるものではないな。ああそうそう、もうちっと季節が後だが、真っ黄色に染まる菜の花畑はなかなか感動的だぜ。
フランス番長 |
2010.04.01(木) 21:45 | URL |
【コメント編集】
ほほう、ポワソン・ダヴリルにはそんな説もあるんだなあ。ていうか何でもアリだな。どの説も後付けっぽいんで、果たしてどれが本当なのかまったく見当もつかねえぜ。ところでオイルサーディン!ありゃカンヅメの中でも悪くねえ部類だな。フランスでおもしれえのは、レモン味だ何だと、色々な味付きのを売ってるところだろうな。まあ日本にもあるんだろうが、こっちのはシーチキンみたいにフツーに売ってるからなあ。他方、野菜のカンヅメってのは軒並みあんまりうまくねえな。
フランス番長 |
2010.04.01(木) 21:49 | URL |
【コメント編集】
番長、やられましたよ!!
周りのフランス人に「どうして魚?」聞いてもちゃんとした答えが得られず、
番長の「口をパクパク」を読んで、「なるほど~!」と思った途端、
まさか番長からのプチ・ポワソン・ダブリルだったとは!
でもコレ使えそうなので、答えられなかったフランス人に言ってみます。
さてさて、どんな反応を得られるやら・・・
今日会社で、同僚達(フランス人)が書類に魚の絵を挟んだり、
誰かの背中に魚をくっつけようと試みたり、かわいい事をしてました。
「日本語でポワソン・ダブリルって何て言うの?」と聞かれ、
「日本にはないから」と言ったら、「日本にはユーモアがないね~」と言われ、
「ありますよ!」とは言ったものの、続きが出てこず・・・
すぐに言い返せなかった自分が悔しかったのですが、
確かに仕事場でこんなイキな出来事はあり得ないかも・・・
と内心思ってしまいました。
別件で桜ですが、パリの近くに桜の名所がありますよ、ソー公園!!
と~ってもきれいなので、機会があれば是非行ってみて下さい。
周りのフランス人に「どうして魚?」聞いてもちゃんとした答えが得られず、
番長の「口をパクパク」を読んで、「なるほど~!」と思った途端、
まさか番長からのプチ・ポワソン・ダブリルだったとは!
でもコレ使えそうなので、答えられなかったフランス人に言ってみます。
さてさて、どんな反応を得られるやら・・・
今日会社で、同僚達(フランス人)が書類に魚の絵を挟んだり、
誰かの背中に魚をくっつけようと試みたり、かわいい事をしてました。
「日本語でポワソン・ダブリルって何て言うの?」と聞かれ、
「日本にはないから」と言ったら、「日本にはユーモアがないね~」と言われ、
「ありますよ!」とは言ったものの、続きが出てこず・・・
すぐに言い返せなかった自分が悔しかったのですが、
確かに仕事場でこんなイキな出来事はあり得ないかも・・・
と内心思ってしまいました。
別件で桜ですが、パリの近くに桜の名所がありますよ、ソー公園!!
と~ってもきれいなので、機会があれば是非行ってみて下さい。
えみり |
2010.04.02(金) 03:44 | URL |
【コメント編集】
えみりさん、押忍! アンタいいひとだねえ、番長の大してひねりもないタワゴトを笑ってくれるとは。幸あれかし。なかなかナイスなご同僚に囲まれているようだな。ポワソン・ダヴリルというかエイプリル・フールがもひとつ話題にならねえ理由の一つは、考えるのが面倒くせえからじゃねえかと思うんだ。人を騙したりイタズラするんだって、それなりにアタマをひねらなきゃなんねえからな。いそいそと魚の絵を用意するなんざ、ちょっと気持ちがほっこりするね。
フランス番長 |
2010.04.02(金) 18:42 | URL |
【コメント編集】
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そういえば、4月の魚ありましたね。
確かにパッとしてませんね(爆)
でも、そういう事だったんだーと勉強になりました。
ちなみに、メーデーの日は、なんでスズランなのかフランス番長さんはご存知ですか?
毎年モノプリや道端で貰えたんですが、まわりのイム人に「何故、すずらん?」と聞いても、誰も答えてくれなかったんです。(イム人にしては珍しい)
いつか題材にして取り上げてください。(←勝手なので無視して下さいw)