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2010.04.22 (Thu)

ドウカしてるぜ、移民国家フランス

 まいったね。
 移民問題には、まいったね。


 ここんとこ、スーパーだのフロだのと軟派な話題が続いたんで、ここらで一発、ハイブロウな話題もカマしておこうかい。


 フランスは、実は移民国家なんだぜ。
 この言葉を聞いてまず思い浮かぶのはアメリカだよな。さもなきゃオーストラリア、ニュージーランドあたりか。
 フランスにそういうイメージは、あまりないんじゃねえか?

 国勢調査(2004年)の数字では、移民は493万人。フランスの海外領土を除いた人口がおおよそ6000万人だから、ざっと人口の約8%ってことになる。
 大して多くないじゃないかって?
 日本の外国人登録者数は222万人(2008年末)で、人口の1.7%だ。これでも過去最高だそうだぜ。

 この時点でも日本に比べりゃ十分多いわけだが、国勢調査の数字は「法的に認められた移民」だからな。
 移民の多くは正規の滞在許可を持っておらず、「サン・パピエ」と呼ばれている。ビザが切れちまったか不法に入国したか、ともかくヤミで生活している人たちだ。彼らの人口は統計の数字の上には現れねえ。だから何人いるのかは誰もしらねえ。
 ミシェル・トリバラという人口統計学者によると、フランスの4人に1人に当たる約1400万人は、親または祖父母の少なくとも1人が移民なんだそうだ。


 さっすがフランス、世界中から人が集まってくるんだぁ。みんなのあこがれの国だもんねっ★
 って、そうじゃねえよ。
 フランスが移民をさせたんだ。

 ごく大ざっぱな話になるが、フランスは国策として20世紀中に2度、移民の大量受け入れをしている。

 1回目は第1次世界大戦の後で、単純労働力を確保するためだった。イタリア、スペイン、ポーランドあたりが中心。フランスサッカー史上最も偉大な選手の一人、ミシェル・プラティニはもともとイタリア系だ。

 2回目は第2次世界大戦の後、特に1960年代で、このときはモロッコやアルジェリアといったマグレブ系が多かったとされる。やはりフランスを代表するファンタジスタ、ジネディーヌ・ジダンはアルジェリア系だな。
 このほか、西アフリカにも多数の旧植民地国があることから、黒人の移民も数多い。


 2回とも戦後だってのは偶然じゃねえよ。戦争をすれば人口が減るうえに、国土は荒廃する。戦後経済の立て直しには頭数が必要だってんで、手っ取り早くよそから連れてきたんだな。
 特に2回目が顕著だった。日本に高度経済成長期という言葉があるように、急激な復興を遂げた1945年から75年のことをフランスでは「栄光の30年」と呼ぶ。
 このときの単純労働力を支えたのが、アルジェリアをはじめとするマグレブ諸国からの移民だった。自動車工場のラインで来る日も来る日も同じ部品を組み立て続け、あるいは炭坑に潜って真っ黒になりながらつるはしを振るったりした。

 ところが1973年、オイルショックが起きて景気が悪化、失業率が跳ね上がると、フランス政府は手のひらを返したような扱いを移民に対して始める。
 まずは74年に移民の受け入れを停止。ついで76年、帰国奨励金なるものの支給を始めた。母国に帰った移民に1万フラン(約20万円)を払うっていう政策だ。
 あのよ、移民ったって1950年代や60年代から来てるわけだぜ。フランスに住んで10年20年は過ぎてるわけよ。んなもん、いまさら母国に生活の基盤なんて残ってねえっての。
 さらに言えば、移民にとっての旨味と言えば、母国に比べてフランスの方が賃金が高いってことなわけだ。そんなはした金より、フランスに住み続けた方がいいってのは誰の目にも明らかだわな。
 てなわけで結局、実際に帰国した移民ってのはほとんどいなかったそうだ。

 この後、移民に対する施策ってのは、右へ左へと政権が移るたびに変化していく。
 しかし、基本的には移民が優遇されることは二度となかった。
 現大統領のサルコジも、移民に対して厳しい態度をとることで有名だ。というかコイツは、移民への取り締まりを強化することで内相時代に名を挙げ、大統領への道筋を付けた男だからな。


 現在でも、移民に対するフランス人の目ってのは決して温かくねえ。
 あからさまに嫌う連中も少なくない。フランスは純フランス人のためのものだ、移民は出て行けって考え方の人たちだ。これはどの国にも一定程度いるよな、日本にもいるように。移民に厳しいサルコジが大統領になってることからも、この層の広がりは想像が付くだろう。

 だが、フランスで移民問題が根深いなあと思うのは、いわゆるリベラルな考え方を持っている人と話したときよ。
 こういう人たちは学があって、何につけ良識ってものを持ってるから、肌の色で人を差別するようなことはしない。移民問題にもおおむね理解がある。
 ところが、じゃあ移民がフランス国内でどう振る舞うべきかってことになると、話が違ってくるんだな。
 曰く、フランスに住むならフランス人としての振る舞いがある。フランスの価値観は受け入れなきゃ。世界で最も素晴らしい政治システムである共和制や、世界で最も素晴らしい芸術のフランス文学や音楽、もちろん映画にも親しむべきだし、そのためには世界で最も素晴らしい言語であるフランス語も話せなきゃね。歴史を勉強して、国歌のラ・マルセイエーズの意義についても理解してね。とな。

 フランス人は、このフランス的価値観、フランス的理念に対して、至上のものだという強い自負を持っている。共和制や、国是の「自由・平等・博愛」、あるいは政教分離を表す「ライシテ」とかな。
 こうした価値観自体は、そりゃ結構なことよ。
 問題なのは、それ以外の価値観を認めないとか、それ以外の価値観を持った人を「フランス的価値観を知らない、もしくは理解できない、知性の低いかわいそうな人たち」と下に見るということが起きてくることだ。
 イスラム教のヴェール着用に対する反発、あるいは専業主婦への冷たい態度なんてのもその現れよ。

 困ったことに、悪気はねえんだ。フランス人は心の底から、フランス的価値観こそが世界で最も優れていると思ってるから。信じて疑わねえから。
 だが、この手合いってのはタチが悪い。何事も疑ってかかる、己の立ち位置すら常に疑わなきゃ気がすまねえ猜疑心の強い番長みたいな人間にとっちゃ、どうにも居心地が悪いんだな。
 たとえば何かの宗教の熱心な信者。宗教自体は人間の倫理や道徳を裏打ちする大変けっこうなものだとは思うが、一点の曇りもない目で私は神を信じてますからと言われちまったときの居心地の悪さったらねえよな。あるいは環境問題。これも番長は基本的には共鳴してるつもりだが、NPOなんかで活動している人に、私はいますっごく大事な、疑いなく大切なことをしていますって顔をしてる人がいるだろ。アレよ、アレ。

 ご同様にフランス人も、フランス的価値観の素晴らしさってのは、あまねく世界に普及させてやんなきゃならねえと思い込んでいるフシがある。そういう人が相当数いる。
 すると、どうなるか。
 移民に対して、同化を強いるようになるんだな。

 当のフランス人は、同化という言葉は好まねえ。「assimilation」(アシミラシオン)ではなく、「integration」(アンテグラシオン)という単語を使うことがほとんどだ。後者の方は、日本語では統合とか融合と訳されることが多いようだな。
 どちらの単語も、もともと性質の違う二つのものを一つにする、という意味は一緒だ。しかし、前者は価値観Aと価値観Bがあったとき、Bを捨てて価値観Aにあわせることを指す。後者の場合、二つの特徴をすり合わせて価値観Cを設定したり、価値観A’やB’をつくったりする。
 だが、こう考えたときに、フランスってのは前者の同化なんだ、どう見ても。フランス人の思いとは裏腹に。


 フランスは、フランス的価値観を丸ごと受け入れろと迫ってくる。
 その鼻持ちならなさ、自己中心的なところは、中華思想に喩えられるぜ。こいつは中国こそが世界の中心だという考え方だが、フランスも実に良く似ている。
 とは言え、むしろフランスの方がよりタチが悪いんじゃねえかと番長は思う。
 中華思想ってのは要するに、漢民族が一番エライんだ、ってことだろ。バッカじゃねえのの一言で片が付く。
 ところがフランスの場合、フランス人が一番エライというストレートな物言いはしない。共和制とか政教分離とか、一見いかにも先進的で普遍的な思想ですってな装いをしてるんだよな。それも満更違うとは言えねえ。
 だが、そいつは善意の押し売りだ。どんなに正しいことだったとしても、大きなお世話なんだよ。そりゃフォークは機能的で使い方を覚えるのも簡単なのかもしれんが、だからと言ってオレたちゃ箸を捨てるわけにはいかねえのさ。

 言わずもがな、こうした同化政策の一番の犠牲者は、アラブ人でありアフリカ人だ。
 ヨーロッパ諸国からの移民と違い、まずは見た目が違う。言語も文化も決定的に違う。地続きの国から来た白人移民とは根っこが違うんだからよ。


 いや、まいったね。
 移民を巡る問題は、ここ40年くらい、フランス社会の最も大きな社会問題であり続けている。
 フランス人が統合の名の下に同化を強いることをやめない限り、解決の糸口は見えてこないんじゃねえかな。




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