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2010.04.28 (Wed)

同じ意味だぜ7つの言葉 移民国家フランス(2)

 まいったね。
 違う言葉が指す同じ意味には、まいったね。


 今回はアンタの語彙力を試させてもらうとしようか。


 ではまず、「シテ」。なんだかわかるかい。
 おう。パリの真ん中、ノートルダム大聖堂やらパリ警視庁やらがある地区のことをシテ島と呼ぶな。歴史は非常に古く、既に紀元前1世紀にはパリシイ族と呼ばれる人々が暮らしていた。これがパリという名の語源になったそうだ。
 そもそも「シテ」は「cite」(eは上にアクセント記号)と書く。英語で言えば「city」に該当するな。だから、一般に都市や町という意味を示す単語でもある。

 だが、文脈にもよるが、フツーにシテと言った場合、これは別の意味を指す。パリ郊外のボロい団地が建ち並ぶ地域、パリで生活する最貧困層の住む地域のことを、シテと呼ぶんだな。住んでるのは大方が移民だ。
 日本人が知らないのも当然、こんな地域のことはどのガイドブックにも載ってねえ。まかり間違って観光客が迷い込むようなことがあれば、身ぐるみはがされるのがオチだろうぜ。フランス人だってなかなか寄りつかねえところだ。
 移民流の呼び方では、語順をひっくり返して「テシ」となる。


 次。「ZEP」ってなんだ。
 レッド・ツェッペリンじゃないぜ。ライブハウスの名前でもねえ。
 「Zone d'education prioritaire」の略で、日本語にすれば「優先教育地区」となるかな。その名の通り、優先的に予算を付けたり教員を回したりする地区だ。
 と言っても、エリート校ってわけじゃねえぜ。むしろその正反対だ。学区内に貧しい家庭が多く、生徒の成績がひどかったり、落第や中退をする割合が高かったりする地域が選ばれる。

 このZEP、さっきのシテと、地域としては重なってくる。
 ZEP自体は、移民の数が多いから指定されるわけではない。生徒の学業成績、親の失業率、生活保護受給率、片親家庭の多さなどで決まる。
 だが、そうやって選ぶと移民の多く住む地域が自然とピックアップされてきちまうんだな。
 教室の中じゃ、誰も教師の言うことなんて聞きやしねえ。遅刻やサボりは日常茶飯事、校内暴力や少年犯罪も珍しくない。そういう荒れた地区だ。


 お次。「バンリュー・パリジェンヌ」って、わかるかい。
 パリジェンヌなんて単語が付いてると華やかな感じがするな、日本語の字面だけを眺めてると。新しい服のブランドか、はたまたケーキの名前なのかって。
 そうじゃねえ。パリジャン・パリジェンヌってのは、パリに住む男女を指し示す単語でもあるが、「パリの」という意味の形容詞でもある。男性名詞につく形容詞がパリジャン、女性名詞ならパリジェンヌになるんだな。
 で、バンリューとは郊外という意味。バンリュー・パリジェンヌとは、パリ郊外という意味だ。

 郊外という言葉自体は、都市の中心部とその郊外というように、位置関係を示す語に過ぎない。だが、いまのフランス語では、バンリューという単語には明らかに含意がある。上の二つと同様、移民の多く住む貧しい地域、治安が悪く犯罪の多発する地域、という意味合いだ。
 そもそも郊外ってのは、それなりに規模のある都市でなければ存在しない。人口1000人の村に郊外もヘッタクレもねえからな。パリ以外で言えばリヨンやマルセイユにもバンリューがある。そしてどこも同じカラーを持っている。家賃の安い団地が並んでいて、職にあぶれた肌の浅黒い移民たちが暇を持て余し、あんまり暇なもんで生活の糧を得るために犯罪に手を染めている、そういうイメージだ。


 だんだん見えてきたかな? 「HLM」はどうだい。
 こいつは「Habitation a loyer modere」の略。日本語に直訳すると「低家賃住宅」となる。これ、団地のことだ。
 単に団地と言えば、たとえば日本の団地なんか、特別に悪いイメージがつきまとうわけじゃねえよな。フランスでは違う。普通の家に住めない貧しい人たちが住むところ、という意味がもれなく付いてくる。住んでる人間の多くはやっぱり移民で、建ってる地域は町の中心部じゃねえことがほとんどだ。


 最後は3つまとめて行こう。「キャルティエ・ショー」「キャルティエ・ポピュレール」「キャルティエ・ソンシーブル」。
 キャルティエったって指輪で有名なカルチェじゃないぜ。quartierと書き、「地区」とか「界隈」といった意味だ。で、「ショー」は「暑い」、「ポピュレール」は「大衆的」、「ソンシーブル」は「敏感な・センシブルな」という意味になる。
 そう、これも全部、上の4つと同じような意味合い。移民が多く住む貧しい地域。マスコミなんかでそういう地域のことを報道するとき、まさか貧民街とは言えねえから、こういう呼び方をする。最近は「キャルティエ・ソンシーブル」が多く使われるようだな。


 ここまでに紹介した7つの言葉、意味はそれぞれに違いがある。ZEPは教育用語だし、HLMは住宅用語だ。
 だが、指し示す中身はみな同じ。フランスに住む人には、どれもだいたい同じようなニュアンスで受け取られる。
移民が住む貧民街、ってな。
 わかりやすい言葉で言い換えようか。「ゲットー」だ。


 前に書いたとおり、アラブやアフリカからの移民ってのは、1960年代前後を中心に、安価な単純労働力としてフランスに呼ばれてきた人たちだ。
 だが、当時っからパリには人が密集しててね。ヨソ者が住めるところなんてのは郊外、バンリューに掘っ建てるしかなかったんだな。とにかく数を押し込まなきゃならねえってんで、つくられたのは安普請の団地。それがHLMよ。
 日本で日雇い労働者がドヤ街に住むように、単純労働力の移民たちは都市郊外の家賃は安いが劣悪な環境で生活をさせられたわけだ。
 で、もともと給料は安く、誰もがしたがらねえ仕事をさせられた上に、不況になれば真っ先に首を切られる。そうなりゃ街はすさむさ。職の見つからねえ親父は息子をぶん殴り、息子は学校で教師をぶん殴る。だからZEPに指定されるわけだ。しまいにゃ学校を飛び出し、盗みにタタキ、果てはドラッグに手を染める。
 当然、世間の鼻つまみ者だ。だれもシテには、バンリューには、キャルティエ・ソンシーブルには寄りつかねえってわけよ。


 だが、考えてもみてくれ。もともとフランスに移民を呼んできたのは誰なんだ。自分たちのしたくねえ仕事を押し付けてたのは誰なんだ。不況だからハイさようならと仕事を取り上げたのは誰なんだ。
 フランスだよ。フランス人だよ。そりゃねえぜ。


 なあアンタ、なんだってフランスには、ゲットーを示す言葉が6つも7つもあるんだと思う?
 事態を直視してねえからじゃないかと、番長には思えてならねえのよ。
 そうやって言葉ばっかりイタズラに増やして、コトの本質から目をそらしてるんじゃねえかってな。

 このことばかりじゃねえ。
 たとえばフランスには、人種や民族別の統計が存在しない。差別を助長するからだそうだ。宗教別の統計もない。政教分離の原則に反するからだそうだ。だから、国内に何人のモロッコ人がいて、何人のユダヤ人がいるのか、何人のイスラム教徒がいるのかも、まったくわからない。
 これなんかも番長には、同様に現実を見据えていない現れのように思えてならねえぜ。


 いや、まいったね。
 フランスにはゲットーがある。しかも、大都市のまわりに山ほどある。まずはそれを認めるところから始めてもらいたいぜ。




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