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2010.05.30 (Sun)

ネットリ密着、サルコとメディア

 まいったね。
 サルコジとマスコミの癒着っぷりには、まいったね。


 前回の記事で、あるサルコジ出演番組への驚きを書いた。



・地上波主要3局とラジオ1局を完全ジャック
・4日前に突然放映が決まった特番
・番組中はひたすらサルコジがしゃべるだけ
・全然突っ込まないジャーナリスト←大統領府の要望だった
・熱心な聴衆かと思いきやエキストラ
・コマーシャルまったくなし
・サルコジのしゃべりが止まらず、なし崩しに15分ほど延長




 どれもこれも日本じゃ考えられねえよな。
 フランスのテレビは、もともと現体制の初代大統領ド・ゴールが中央政府の方針を国民に伝え、教育する手段としてつくられた。だから未だに、大統領サマがご出演なさるとなると、みんなビビりあがっちまうのか。

 それもあるのかもしれねえ。だが、ことサルコジに限って言えば、他にも思い浮かぶこともある。
 マスコミ各社のトップとねんごろなんだ。癒着してると言っても過言じゃねえぜ。


 この番組で、ジャーナリストを名乗るキャスター2人がまったく役に立たなかったというのは、前回書いたとおりだ。サルコジの喋りをただ聞くだけで、鋭いツッコミもなけりゃ、サルコジを困らせるような質問もしねえ。お飾りみたいなもんだった。
 うち1人は国営放送フランス2のキャスター。サルコジが怒れば予算を減らされてもおかしくないし、実際サルコジは国営放送局からCM収入を奪っちまった。だから大統領に対して強いことが言えないというのは、まあわからなくもねえ。日本の選挙特番なんかでも、NHKのキャスターはおおむね民放に比べておとなしいもんな。
 しかし、もう一人は民放TF1のキャスター。そういうしがらみはなさそうなもんじゃねえか。この人、夜8時ニュースのキャスターで、名前をローランス・フェラーリという。美人ちゃんだ。



laurence_ferrari.jpg
(ローランス・フェラーリ、フェイスブック公式ページより)



 今のポジションに就いたのは2008年の8月25日から。それまではずーっと同じおじさんが21年間にわたってニュースを読んでたのよ。パトリック・ポワーブル・ダルヴォールという名で、縮めて「PPDA」と呼ばれて親しまれていた。



s-800px-Patrick_Poivre_dArvor_20100330_Salon_du_livre_de_Paris_2.jpg
(PPDA、ウィキペディアより)



 TF1と言えばフランスで一番歴史が古く視聴率も高いチャンネルで、8時のニュースは看板番組。まさに国民的キャスターとして人気が高かったんだが、いいかげん年もとってきた(1947年9月生まれ)ってんで、2007年に引退を表明したのよ。
 ところが、そのときには自分で「65歳になる2012年に番組を降りる」って宣言してたんだな。65歳ってのはいまのフランスでは一般的な定年の年齢だし、2012年は次の大統領選挙が行われる節目の年だ。実際、PPDAは選挙が終わったら辞めると言っていたんだな。
 ところが2008年8月、突如として番組から消えた。
 当初はTF1が世代交代を早めたんだろうと思われていたんだが。後になってPPDA自身が、「あれは政治的な決断だった」と漏らしたんだな。

 実はこのTF1、サルコジとの関係が非常に深い。
 ここの大株主は「ブイグ」という大手建設会社で、87年に経営権を取得している。このブイグの社長、マルタン・ブイグって人は、サルコジと前妻セシリアの結婚式で証人を務めたくらいで、サルコジのポン友としておなじみなんだな。
 なぜPPDAは降ろされたのか。2007年の6月にドイツのハイリゲンダムって町でG8サミットが開かれたんだが、このときにPPDAはサルコジへのインタビューで、「大男の集まりに乗り込んだ少年のような気分じゃないか」と質問した。それをサルコジが根に持っていたんじゃないか、って言うんだな。
 ほかにも、サルコジと親しい日刊紙フィガロの元編集局長がTF1の報道部長に就く人事にPPDAが反対したからだ、という話もある。
 まあなんにせよ、このままPPDAをキャスターにはしておけないとマルタン・ブイグが判断したことは間違いねえ。

 その代役として選ばれたのがローランスちゃん。
 下馬評では、2012年の後継キャスターは、PPDAのバカンス中にキャスター代役を務めたイケメン黒人のハリー・ロゼルマックになるんじゃないかと噂されていたんだがな。まさかの抜擢だったわけだ。
 そりゃ、サルコジに楯突くようなことを言うわけがないわなあ。
 ちなみにTF1には、サルコジの元側近だったロラン・ソリってのが大統領就任と同時に入社している。蜜月ってわけだ。



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(おまけ。ハリー・ロゼルマック、TF1のウェブサイトより)



 ところで、さっき日刊紙フィガロのことを書いたよな。
 この新聞、実はミラージュ戦闘機をつくっているダッソーという会社の傘下なんだな。軍需産業が政府にケンカを売るわけがねえってわけだ。
 ま、もともとフィガロは右翼系の新聞で、読者はサルコジの支持者と重なるから、仲が良いのも当たり前と思われるかもしれねえ。

 ところがどっこい。
 リベラルな紙面でフランスを代表する新聞とされているル・モンドも、株式の17%をラガルデールという企業グループに所有されている。その中核は航空機・兵器産業。おいおい、リベラルな紙面には似つかわしくないじゃねえか。
 総帥のアルノー・ラガルデールはやっぱりサルコジと親密で、互いに「兄弟」と呼び合ってるらしいんだな。キモイぜ。
 このラガルデール・グループ、ほかにも日曜日に出る新聞のジュルナル・ドゥ・ディマンシュや、ラジオ局や出版社、日本版も出ている女性誌の「ELLE」、さらには写真週刊誌のパリマッチもグループにおさめている。
 聞いたことがある話だな、とピンと来たアンタは鋭い。実はパリマッチ、サルコジのたるんだ腹のゼイ肉を修正したことがあるってのを、過去にも紹介させてもらったことがあるぜ。
 この場合も、サルコジが修正しろと命令したわけでもないのに、パリマッチの方で勝手にハラのたるみを削ってたんだった。つまりは、メディアの側が萎縮しちまってるんだな。このときパリマッチ編集長の脳裏に浮かんだのは、さてサルコジなのか、それともアルノー・ラガルデール総裁なのかね。

 話はこれだけじゃ終わらねえ。
 穏健なル・モンドと違ってビンビンの左翼系である日刊紙リベラシオンも、経営を支配しているのはロスチャイルド家。そうよ、世界の金融業を動かすユダヤ系財閥のロスチャイルド家よ。ここのトップもまた、サルコジと仲良しちゃんなんだとさ。

 さらに、日本で言うところの日経新聞にあたる経済紙レゼコー、ここのパトロンはルイヴィトンなのよ。
 日本じゃヴィトンと言えばモノグラムくらいに思われてるかもしれねえが、LVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)という企業グループを形成していて、ディオールやジバンシーやダナキャラン、果てはケンゾーまでもを傘下におさめ、高級ブランドだけで50近くを束ねてんだぜ。さらにはドンペリやヘネシーといった酒や、15カ国150店の免税店を展開するDFSもここのグループってんだから、そのデカさがわかるだろ。
 このLVMHトップのベルナール・アルノーってのも、ブイグと一緒に、サルコジと前妻の結婚式で証人を務めている。マブダチってわけだ。

 こうして見ると、全国紙でサルコジと関係がねえのは、パリジャンだけってことになるな。日本で喩えるなら、読売と朝日と毎日と日経がすべて鳩山のシンパで、産経だけが孤軍奮闘してるような状況というかな。


 さらにさらに。
 サルコジは政権を執った後、ジャーナリスト2人を引き抜き、メディア対策の大統領顧問に置いた。1人は週刊誌ル・ポワンの編集長で、もう一人は地方紙プロバンスなどで論説委員を務めていた人物だとさ。さらに、首相府もフィガロの記者1人を広報顧問に雇い入れている。
 記者の側からしたらさぞかしやりにくいだろうなあ。手の内を知り尽くされてるわけだもんな。


 いや、まいったね。
 サルコジもサルコジだが、権力者が報道機関を牛耳りたがるのは世の常。簡単に買収されちまうマスコミ企業や、権力になびいちまうジャーナリストが少なくないってのも、実際どうかと思うぜ。




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2010.05.28 (Fri)

サ・サ・サルコの大爆ショー! ありえない番組

 まいったね。
 大統領サルコジのワンマンショーには、まいったね。


 どこの国の元首もそうであるように、サルコジもしょっちゅう演説をしている。年頭会見なんかをはじめとして、テレビで中継されることも少なくねえ。
 だが、2009年2月5日の夜に番長が見たのは、そういう平凡なもんじゃあ断じてなかった。

 ちょいとこれを見てもらおうか。



s-sarkozytv1.jpg

s-sarkozytv2.jpg

s-sarkozytv6.jpg




 小汚い写真で申し訳ねえ。だが、これなら著作権問題はクリアだな! ハッハッハ。
 映ってるのはおなじみサルコジ陛下だ。だが、注目してもらいてえのは右上スミの部分にある白いマーク。
 これ、各テレビ局のマークなんだな。順に、TF1、フランス2、M6。
 同じサルコジの映像だが、それぞれ別の放送局で流されたものなんだ。同じ時間にな。

 以前にも触れたが、フランスには地上波のテレビは5チャンネルしかねえ。しかも、上記3つ以外のフランス3とフランス5は、いずれもフランス2と同じ国営放送局の製作。同じNHKの総合と教育みたいなもんだ。
 つまり、真に地上波は乗っ取られたわけわけだな。
 そうなのよ。この夜、サルコジは電波ジャックをした。
 チャンネルをひねってもひねってもサルコジ。分け入っても分け入っても青い山だぜ。
 テレビだけでなく、ラジオ局のひとつもこの放送を流した。4局同時中継ってわけだ。

 新聞を見る限り、日程は急遽決まったようだ。この特番の存在を知らせる記事は前日の4日にようやく出ていた。その週に売られていたテレビ雑誌の番組表には、それぞれの局で別の番組が掲載されていた。
 番長はその夜、「バック・トゥ・ザ・フューチャー3」をM6で見る予定だったんだ。いや、既に見たことはあるんだけどな、前の週の同じ時間に「2」がやってるのをたまたま見たら結構ハマっちまってさ。しかも、次週「3」をやるって予告まであったからよ。見た人なら知ってるだろうが、「2」の終わりって「3」につながってモヤモヤしたままエンディングを迎えちまうんだよな。マイケル・J・フォックスは西部劇の世界でどんな活躍を見せるのか、ドクはいったいどうなっちまったのかって、ひそかに楽しみにしてたのよ。それがパー、ってわけよ。
 結局この後、バック・トゥ・ザ・フューチャー3が放映されることはなかったぜ。なにしてくれんだよ、サルコジ。番長の胸のモヤモヤ、どうしてくれんだよオイ!


 このころフランスでは、全土で100万人以上が参加する大規模なストとデモがあった。サルコジのテレビ出演はこれに応えたもの、とされていた。
 サルコジの政策は保守的で、と言っても新しいことをしないという意味ではなく、ごくザックリ言って、大企業により富を多く配分して社会に還元するというやり方をとっている。ストを起こしたのは労働組合で、不況でえらいことになってるぞ、労働者や中産階級の利益を守れ、雇用の安定と失業者対策をしっかりしろ、と求めたわけだな。
 まあ古典的な対立構図ではある。
 このサルコジ特番、午後8時15分から90分間で、番組名は「face a la crise(危機に直面して)」。サルコジに対して4人のジャーナリストが質問をする、という触れ込みだった。

 しゃあねえ、他の選択肢は奪われちまったってんで、番長も見たんだが。
 まあビックリよ。驚くことばかりだったぜ。

 と言っても、サルコジの発言が斬新なんで驚いたんじゃねえ。
 まずは、いかに大統領が話すとは言え、地上波全局が同じ番組を流すということ自体にびっくり。独裁国家かよ。


 で、大統領に相対する4人のジャーナリストって誰かなと思いきや、各局のニュース番組に出演しているキャスターたちだった。テレビ3局とラジオ1局、それぞれから1人ずつ送り込まれてるんで、4人いるわけだな。
 TF1とフランス2は午後8時から約30分のニュース番組を毎日やっていて、そのニュースキャスターだった。正直言うと、ちょっと胸踊るものがあったな。この8時のニュースってのはフランスのテレビ報道部門では看板、花形なのよ。言ってみりゃ、筑紫哲也と久米宏が同じスタジオにいる感じだな。……あー、今で言えば、まあ安藤優子と古舘伊知郎ってとこか。この二人が並ぶなんて普段ありえないだけに、何が起きるかと期待させるものがあったぜ。
 M6は普段、音楽やバラエティ番組に力を入れている軟派な局なんだが、来ていたのは経済番組のキャスター。もう一人はラジオ局の代表で、年季の入ったおじさんだったぜ。

 放送は大統領官邸のエリゼ宮から生放送で行われた。三角形の机が真ん中にドーンとあり、カメラの正面にサルコジ。左側の一辺にTF1とフランス2のキャスターが座り、右側は空席。M6とラジオ局の2人はマイクのないところにいた。
 で、大統領の左側奥にはひな壇があり、男女10人あまりが座っていた。最初は記者かなと思ったんだが、にしちゃあメモを取ったりパソコンを開いたりする様子がない。
 新聞記事によると、なんと観客に模したエキストラだったそうだ。
 要するに、市民、視聴者が熱心にサルコジの言う事に耳を傾けてるってなサマを映像で表現するための演出なんだな。言ってみりゃ書き割りよ。
 番組中にはなんの説明もなかったぜ。
 これだけで日本なら、演出の一言ではすまされないってんで、大問題になりそうだよな。


 番組はキャスター2人の進行で静かに始まった。
 キャスターと書いたが、どっちかと言えばアナウンサーなんだよな。いつ見ても原稿を読み上げているだけで、個人的な意見は一切さしはさまない。
 そういう人のことは日本ではジャーナリストとは言わねえが、経歴を調べてみると、2人とも若いころは雑誌に記事を書いたりしていて、ジャーナリストとしてなんら恥じるところのない活動をしているようだ。
 なるほど、普段のニュースでは時間も限られているし、自分の意見を殺しているのかもしれねえ。となれば、こういう番組なら丁々発止のやりとりをしてくれるのかな。
 ……そんな期待もむなしく、サルコジの独壇場、ワンマンショーとなったぜ。

 番組全体を通じて、95%はサルコジがしゃべっているだけだったな。
 途中、M6とラジオの代表は時間を与えられ、交代で右側の席に着いて質問をした。彼らは、特にラジオのおじさんは、サルコジの発言をさえぎる努力はしていた。サルコジはそれでも話すのを止めなかったが、質問内容が鋭かったのかな、時に顔をしかめたりもしていたぜ。
 しかし、TF1・フランス2の2人と対しているときは、まさに立て板に水。ぺらぺらと自分のしゃべりたいことだけをしゃべってたぜ。時折口をはさむ場面もあるんだが、サルコジから何かを引き出してやろうという気持ちがまったく感じられなかった。むしろ寄り添ってるんじゃねえかと思うくらいよ。
 結果として新味のある話は最後までなく、一方的なサルコジ・トークに付き合わされるハメになっちまった。

 左翼系日刊紙のリベラシオンも、翌日の新聞で質問内容に対する不満を取り上げてたぜ。
 このころ、フランスが抱える海外県の一つグアドループでも本土と同じような理由で大規模なストが発生していたんだが、被害の方は比較にならないくらい深刻で、2週間以上にわたって都市機能がほとんど麻痺していた。ところがサルコジはほとんど無視を決め込んでいるかのように何の手も打たず、TV出演したときには改善の兆しはまったく見えていなかった。この件については、2人が司会を務めるニュース番組でも何度も取り上げられていたぜ。
 にもかかわらず、誰もこの件に関して質問をしなかった。聞かれもしねえことをわざわざ答えねえわな、サルコジも。
 同紙では「あのジャーナリストたちは仕事をしていなかった」とする声が紹介されていたぜ。

 だが、それもそのはず。
 右翼系日刊紙フィガロの記事によると、今回の放送にあたって大統領府がいちばん頭を悩ませたのが、相手となるジャーナリスト選びだった、というんだな。
 というのも、ことによってはサルコジは大きく支持率を下げるかもしれない。だから「まじめで、静かで、きちんとした質問をする人をお願いした」と、議員の一人が漏らしたってのよ。ジャーナリストとしちゃあ、こんなに屈辱的な言われ方もねえよな。
 サルコジ側が自分に都合のいいインタビュアーを選んでるってことにも驚くぜ。テメエの都合でねじ込んできた放送だってのに、キャスティングさえ自由にさせねえんだな。唯々諾々と従ってるテレビ局もどうかと思うけどよ。


 他にも驚いたことはある。この番組の間じゅう、コマーシャルが1本も入らねえんだな。
 サルコジに好きなように、できるだけ気持ちよくしゃべらせるようにお膳立てをしてるってことなのかね。
 しかし、TF1とM6は民放だ。フランス2は国営局だが、この当時はCMをきっちり流して収入の足しにしていた。いったいこの分の金はどうなったんだ?
 もし大統領側から出ているとすれば税金だし、テレビ側で負担しているとしたら、公費を負担させられるなんてのはおかしな話だよな。

 さらに、この番組は90分の予定だったんだが、サルコジがしゃべり止まらないんで、なし崩し的に15分くらい延長したのよ。
 こういうことも日本だったら考えられねえだろ、その後の番組編成もあるわけだし。
 すべてがサルコジ優先なのよ。どうなってんだか。

 ちなみにこのサルコジ番組、視聴率は3局あわせて計57%。計約1500万人が視聴したそうだ。フランス人口の4分の1にあたるな。
 もっとも、パリジャン紙の調査では、大統領の発言にガッテンした視聴者は36%にとどまり、52%は納得しなかったそうだぜ。
 サルコジにとって吉と出たのやら、凶と出たのやら。


 いや、まいったね。
 あらゆる点で、日本じゃ成立しない番組だな。
 改めて、フランスでは政治家とメディアの関係が近いってことを感じさせるできごとだったぜ。




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2010.05.26 (Wed)

事件報道、乏しい理由

 まいったね。
 フランスの事件報道には、まいったね。


 前回の記事で書いたとおり、フランスは日本よりも犯罪が多い。発生率でいうと、主な事件で4倍、未遂を含む殺人事件で3倍ということだった。
 だが、フランスで暮らしていても、そこまでの実感はない。パリなんかの都会や、治安の悪い郊外に近づくと、肌で感じるものはある。だが、日本の4倍とまでは思わねえ。
 と言うのも、日本に比べて明らかに事件報道が乏しいからだ。

 たとえばテレビ。日本の場合、昼夜を問わずどの時間帯のニュース番組でも、30分なり1時間なりの放送時間がある場合、中に一本も事件のニュースがないってことはほとんどないと言っていいだろう。
 殺人や政治家による贈収賄のような大きな事件がなくても、コンビニ強盗やひったくり、DV、痴漢、振り込め詐欺に違法カジノの摘発と、まあ何かしらは報道があるぜ。
 事件というカテゴリには入らねえかもしれんが、警察が絡むという意味では同じ、火事や交通事故のニュースもしょっちゅうやっている。こちらはローカルニュースの場合が多いけどな。

 これが、フランスのニュースにはほとんどないのよ。殺人事件のニュースをテレビで目にすることなんてのは、1年のうちに1回あるかないかという程度。強盗やひったくりのニュースなんてのもまず見たことがねえ。
 フランス暦の浅い番長の偏見かもしれねえんで、まわりのフランス人にも聞いてみた。やっぱり、そういう報道ってのはほとんどないってことだったぜ。

 新聞も同様だ。日刊紙のパリジャンはまだ事件記事が多く載っている方だが、ル・モンドやリベラシオンなんかを読んでも、テーマ性のある記事やコラム調の記事が多く、事件そのものをストレートニュースとして伝える記事は非常に少ない。新聞のつくりが違うんだと言えばそれまでの話だが、それにしたってほとんどない。
 日本の場合、殺人事件が起きたのに新聞記事にならないってことは、まずないと言っていいだろう。社会面や地域面には、大小様々な事件記事が毎日必ず載ってるぜ。


 なぜ事件報道が少ねえのか。
 フランス人には品のねえ三面記事はお気に召さない? 人の死には興味がないのか?

 んなこたあねえと思うぜ。
 聞いたところでは、フランスの民法や刑法ってのは、不必要なプライバシーの暴露に対しては厳しいらしい。しかし、フランスでも事件事故の報道は実名が基本だ。「不必要」ではないからだろう。
 実際、事故のニュースはよくあるんだ。交通事故とか、遭難とかな。どんだけフランスが個人主義の国だと言っても、人の死はいたましい。この感覚は万国共通なんだろう。

 それに、事件報道の代わりにしょっちゅう目にするニュースがあるんだ。
 行方不明者よ。何とかいう町で何月何日ごろから何とかいう名前の人がいなくなってる、家族がビラ配りをするなど懸命に行方を捜している、ってな具合のニュースだな。



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(行方不明者の捜索を呼びかけるポスター)



 典型的だったのが、2008年にオーベルニュにある人口1万人強の都市イゾルで起きた、6歳の男の子、アントワーヌくんが失踪した事件。全国紙やテレビの全国ニュースでも盛んに取り上げられていた。
 6歳の子どもがいなくなるだけでも事件ではあるが、さにあらず。
 アントワーヌくんは母子家庭の子で、この母親が身持ちが悪いと評判だったらしいんだな。愛人としけこんでるとか、過去には麻薬密売で逮捕歴があるなんて記事も出てたぜ。テレビじゃ元夫が顔を隠してインタビューに応じてたから、日本のワイドショーも顔負けよ。秋田であった豪憲君事件みたいなもんだな。

 つまり、フランス人も事件に対する興味はフツーにあるわけだ。
 じゃあなんで事件報道が少ないのか。
 番長が考える一番の理由は、警察発表がないことだ。


 日本の場合、大小様々な事件や事故について、警察はマスコミに発表文を流している。新聞やテレビ、通信社だな。各都道府県警本部の中には記者クラブがあって、大きな事件や事故が発生すれば、クラブの中にいるマスコミ各社の記者にも情報が伝えられる。
 こういう仕組みが、フランスにはねえんだな。
 いや、より正確に言うと、例外なのは日本だ。警察という捜査機関が、マスコミに対してこんなに丁寧に発表をしているのは、おそらく日本だけだろう。

 こういう発表をフランスでは逐一したりしねえ。記者が事件自体を知らないから、そりゃ報道も少ないわけだな。
 行方不明者が報道されるのは、目撃証言を集めるためにもぜひマスコミを通じて世間の人に知らせたい、と家族が情報を持ち込むからだ。あるいは、そういう場合は警察がマスコミを頼ることもあるんだろう。
 もちろんフランスでも、警察が懇意の記者に情報を流すことはあるようだ。だが、コンビニ強盗だ振り込め詐欺だってな事件をいちいちそのたびに教えてくれるってわけにはいかねえよな。そのへん、システム化している日本とは全然違うわけよ。
 日本では、長い歴史の中で警察と報道機関がすったもんだを繰り返し、お互いにとって最もストレスやコストのかからない方法が採用されたってことなんだろう。

 そこで大きな役割を果たしてんのが、実は記者クラブなんだな。
 日本の場合、たとえば警察が重要な事件を発表しなかったとする。マスコミ1社が文句を言ってもあらそうですかってなもんだが、記者クラブが加盟するマスコミ全社の総意として抗議するとなると、話が違ってくる。
 影響力も違うし、警察の場合だと、記者クラブが文書で要請したことは警察庁に報告しなきゃならねえという不文律がある。いろいろ面倒くさいことになるんで、だったら最初っから発表しとこうってことになるわな。
 要するに記者クラブってのは、圧力団体なわけだ。
 フランスには、報道各社同士によるこういう形でのヨコのつながりってもんがない。


 日本の記者クラブに対しては、批判をする意見が目立つ。番長も、クラブを大マスコミにしか開いてねえってのは問題だと思うぜ。雑誌メディアやフリーも含めて、すべてのジャーナリストに開放すべきだろう。
 だが、だからと言ってクラブを潰せばいいかというと、そういうわけじゃあねえとも思うんだな。
 事件報道がたくさんあればいいかについては、色々な考えがあると思う。
 しかし、日本の場合、事件報道を見たくなければ見なきゃいいが、フランスでは選択肢がない。知る権利にこたえるって意味じゃ、日本の方が優れてるんじゃねえか。

 さっき例に挙げたアントワーヌ君の事件なんだが。
 失踪から3週間後に急展開があった。母親と愛人、その仲間たち6人が、いっせいに身柄を拘束されたんだな。テレビの全国ニュースでもトップの扱いだったぜ。
 ところが、いったい何の容疑で拘束されたのか、事情聴取で何が聞かれ、彼らは何を答えたのか、地元紙も含めて、報道では一切明らかにされなかった。
 しかも、彼らはそのうちに身柄を解放された。ところが、その理由も報道されずじまい。アントワーヌ君の行方はいまだ杳としてわからねえ。
 そりゃないぜ。日本じゃ考えられねえよな。


 かと思えば、リークでいいように報道機関が踊らされてる様子はあんのよ。
 2009年3月、南仏モンペリエで47歳の男が脅迫容疑で逮捕された、と1チャンネル(TF1)のニュースで報じられた。なんでも、大統領のサルコジや大臣、地元県選出の代議士なんかに、殺害をほのめかすような脅迫状と、直径9ミリの弾丸を同封して送ったんだとか。
 弾丸と言っても殺傷性のあるものではなかったそうだ。それとこの男、精神障害のある疑いがあって、以前別の女性にほとんど同じ内容の手紙を送っていたこともあるとか。逮捕歴もあるそうだ。
 とまあ、事件自体は割とどうでもいいような話なんだが。驚いたのが、頭からジャンパーをかぶって警察に連行される容疑者の様子が、ばっちりカメラに写されてるんだな。こんな映像、フランスじゃまずお目にかからねえよ。

 その後、5チャンネル(フランス5)でやってたニュース一週間まとめ読みみたいな番組でも、この映像のことが取り上げられていた。地元紙にも男が連行される様子はバッチリ写真に撮られていたそうだ。
 これ、警察から事前に「今から逮捕しに行くよ」って連絡がない限り、ゼッタイに撮れねえからな。サルコジを脅すとこうなるってことを知らしめるために、リークがあったんじゃねえかと番長はみてるぜ。
 なんせサルコジには前科がある。前科と言っちゃ悪いか。ともかく、2005年にパリ郊外で移民2世や3世たちが暴動を起こしたとき、治安に当たる警察がそのリーダー格とされる連中を逮捕しに行く様子が何度となくテレビで放映されたんだが、こいつは当時内相だったサルコジのリークだったことが後に明らかになってるからな。

 いや、まいったね。
 日本でももちろんリークはあるさ。あるいは、記者クラブがリークの温床になっているのかもしれねえ。
 しかし、報道なんてのはいずれ、情報を握っている人間からネタを取ってくるって仕事だ。どうやったってリークを離れて存在できるもんじゃないんじゃねえかな。事実、記者クラブのないフランスでもリークはあるんだから。
 だとしたら情報の絶対量が多い方がいい、と番長は思うぜ。




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