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2010.05.14 (Fri)

スレ違う、ふたりのキモチ… 本土フランスとコルシカ

 まいったね。
 コルシカの独立を巡る意識のズレには、まいったね。


 へへっ、なんだか艶っぽいタイトルを付けちまったが、このサイトにロマンチックな恋愛に関する記事なんか載るわけねえぜ。またもやコルシカのお話よ。
 本土のフランス人には、コルシカに対するステレオタイプがあった。19世紀につくられた文学の影響なんだが、野蛮で怒りっぽく、非近代的かつ非合理的、復讐の風習を持つ人々の住むところ、ってな具合だ。
 代表的な作品としてはメリメの「コロンバ」ってのがあるそうだが、番長これは読んだことねえ。おそらくアンタもそうだろう。しかし、こいつは知ってるんじゃねえかい? 「厳窟王」、別名「モンテ・クリスト伯」。アレクサンドル・デュマの代表作で、世界文学全集なんかにも必ず入ってるよな。この作品でもコルシカは侮蔑されてるぜ。ほかにも、バルザックやモーパッサンなど、当時の名だたる作家はみな同じようなコルシカに対する描写をしている。
 復讐の風習は「ヴァンデッタ」と呼ばれ、血縁の者を殺されたら必ず殺りかえすというものだ。つまるところが仇討ちよ。どうも日本人としちゃ、ひとごととも思えないじゃねえかよ、なあ。
 こういう見方ってのは、差別というほどのもんじゃねえように思う。コルシカの人にとってみりゃいい気はしねえだろうが、言ってみれば「あの島にいるのは妙な連中だよ」ってなくらいの。おかしみを伴う、っていうかね。


 それとは別に、本土フランス人には、もう一つ抜き去りがたい固定観念が、コルシカに対しては残ってるようなのよ。
 フランスからの独立を企てる島、先鋭的な民族主義者たちが暴力的な活動をする島、というイメージだ。
 この印象を植え付けたのは、1998年にコルシカで起きた、エリニャック知事暗殺事件。こいつは、コルシカ民族主義者グループによる犯行だった。
 フランスの知事ってのは官職で、選挙によって選ぶ日本とは違い、中央政府から送られてくるただの役人なんだな。民族主義者からすれば、不当な支配のシンボルってことになるんだろう。

 ところがこのエリニャック知事って人、決して政府の方ばかりを見ず、ちゃんと島のことを考えてくれるってんで、コルシカの人たちからも慕われていたそうだ。暗殺に踏み切るような過激派の民族主義者ってのは、島内にもごくわずかしかいないのよ。
 これがフランス本土から見ると、コルシカの連中がまたやった!って風に見えちまうんだな。コルシカに住む人々なんてのは、すべからく過激派なんだろうと。イスラム教徒をテロリストと決めつけるようなもんで、明らかな偏見なんだが。

 意識のズレは、世論調査に現れている。
 各種の調査によると、フランスから独立すべきだとするコルシカ島民はわずかに1割弱でしかない。残りの約9割は反対、つまりはそのままフランス国内にとどまることを求めている。
 一方で、フランス本土の人に聞くと、3~4割の人が「コルシカは独立すべきだ」と回答するんだな。
 知事を殺すような厄介な島はさっさとフランスから切り離すべきだって人もいるだろうし、独立したいコルシカの人たちの背中を押してあげようって人もいるだろうが、どっちにしても、コルシカは独立をしたがってるという思いこみがあるんだろうぜ。

 このスレ違い、男女の仲で喩えるならば。
 子育てにも一区切りのついた奥さん、パートに出たりテニスを習ったりと外出が多くなった。パートは家計の足しにするためで、テニスは学生時代にやってたのを再開させただけなんだが、ダンナとしちゃ気が気じゃねえ。アイツ、最近めっきりキレイになったんじゃないか。なんだか他の男と電話をしてるっぽい。俺と別れようとしてるんじゃないか!? チクショウ、そっちがその気ならいつでも離婚してやるぜ!
 と、疑心暗鬼になって逆ギレしてるイメージかな。


 現在、ごく客観的に言って、コルシカに具体的な独立の機運はない。
 独立意識ってのは、むしろ文化的な活動に移ってきている。たとえばコルシカ語の見直しがそうだ。一時期は島内でもフランス語の普及でかなり影が薄くなっていたが、現在では学校教育もされている。テレビでも3チャンネルの地方ニュースは、全く同じ内容をコルシカ語とフランス語の2回繰り返して放送しているぜ。
 あるいは、音楽。コルシカには口伝えに代々受け継がれてきた独特の歌唱がある。たとえば「パディエッラ」と呼ばれるものだと、男ばかりが集まって低音や高音に分かれ、合唱をするんだが。ピッタリと声を合わせる一般的な合唱のイメージとはかけ離れていて、まるで何か大声で語り合っているかのようなんだな。ユネスコの無形文化遺産に登録されてるぜ。

 コルシカの人たちってのは、本土のフランス人から、田舎者だ辺境の連中だとずっとバカにされてきた。それを払拭しよう、民族としての誇りを取り戻そうってのが、いまコルシカで主流の動きなわけよ。
 コルシカは、いわゆるフランス的価値観からは背を向けている。しかし、だからといって独立を求めてるってわけじゃねえんだな。そこのところが、どうも本土のフランス人にはうまく理解できねえようだ。



s-bonifacio.jpg

s-bonifacio2.jpg

(本文とは関係のない写真でお茶を濁すぜ。コルシカ南部、ボニファシオの街は断崖の上にある)



 もちろん、独立運動や民族主義運動も脈々と受け継がれてはいる。爆発事件を伴うテロっぽいこともたまに起きる。
 とは言え、知事暗殺のころのような勢いはない。同じ組織内での内ゲバや、職にあぶれた若いあんちゃんたちがやり場のない不満のはけ口にしてる様子が見え隠れするような話がほとんどだ。
 一方で、フランス政府のコルシカに対する腫れ物に触るような対応ってのは、どうも変わりがねえようなんだな。


 2008年の8月30日、コルシカでちょっとした事件があった。フランス人俳優クリスチャン・クラヴィエの別荘に、活動家約50人が侵入したのよ。
 クラヴィエはフランスでは割と有名な俳優で、サルコジの朋友として知られている。南部コルシカ選出の保守系国会議員の友人でもあるそうだ。ゆえに活動家たちは、本土フランス人によるコルシカ収奪のシンボルとしてこの別荘を選んだわけだ。まあ、ぶっちゃけマスコミ受けもするしな。
 実際、彼らは「コルシカの土地を売る者、恥を知れ」と書いた横断幕を掲げていたそうだ。活動の対象はクラヴィエ個人じゃなく、むしろ穏健派のコルシカ島民を対象にしたものだったってことだな。

 日刊紙ル・モンドの伝えたところでは、活動はごく平和的に行われた。活動家たちはクラヴィエと対話しようと、別荘を囲む鉄柵を乗り越えて廷内に侵入。ところが留守だったんでガードマンを通じて連絡を取った。本人は「丁重におもてなしをして、冷たい飲み物をお出しするように」と指示。さすがは大物俳優だねえ。活動家達はプール脇のデッキチェアに座って数時間滞在したが、結局ビラを一枚置いて帰ったそうだ。
 実害なし。当時のル・モンドの見出しも「コルシカ民族主義者、クラヴィエ邸に押しかけドリンク一杯」と牧歌的だったぜ。

 ところが、2日後の9月1日になって、事態は急展開する。なんと、エリゼ宮(大統領官邸)がコルシカ島の警察トップを更迭、つまりクビにしたんだな。
 どう考えても過剰反応だろ。

 本来独立しているはずの地方行政組織の人事を、国家の長がいとも簡単に左右できちまうってところに驚いちまうが、こういう人事はさしもの中央集権国家フランスでも、相当珍しいことだ。
 しかもこの警察トップ、折り紙付きの優秀な人物だったっていうんだな。コルシカは失業率が本土に比べて高く、若者を中心に不満がくすぶっていて、治安は決してよくねえ。ところが、この人は非常に優れた手腕を見せ、テロの数は2007年に前年比で22%低下、犯罪解明率は全国平均より7ポイント高い43%を記録した。難しい任務をよくこなしていたってんで、08年には勲章を受章していたそうだ。
 そういう有能な官吏を、クビにするようなことかね?
 その後、この活動家たちも訴追された。ビラ一枚置いただけでな。


 いや、まいったね。
 本土のフランスには、もっとコルシカの現状をしっかり見極めてもらいてえもんだぜ。




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