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2010.05.26 (Wed)

事件報道、乏しい理由

 まいったね。
 フランスの事件報道には、まいったね。


 前回の記事で書いたとおり、フランスは日本よりも犯罪が多い。発生率でいうと、主な事件で4倍、未遂を含む殺人事件で3倍ということだった。
 だが、フランスで暮らしていても、そこまでの実感はない。パリなんかの都会や、治安の悪い郊外に近づくと、肌で感じるものはある。だが、日本の4倍とまでは思わねえ。
 と言うのも、日本に比べて明らかに事件報道が乏しいからだ。

 たとえばテレビ。日本の場合、昼夜を問わずどの時間帯のニュース番組でも、30分なり1時間なりの放送時間がある場合、中に一本も事件のニュースがないってことはほとんどないと言っていいだろう。
 殺人や政治家による贈収賄のような大きな事件がなくても、コンビニ強盗やひったくり、DV、痴漢、振り込め詐欺に違法カジノの摘発と、まあ何かしらは報道があるぜ。
 事件というカテゴリには入らねえかもしれんが、警察が絡むという意味では同じ、火事や交通事故のニュースもしょっちゅうやっている。こちらはローカルニュースの場合が多いけどな。

 これが、フランスのニュースにはほとんどないのよ。殺人事件のニュースをテレビで目にすることなんてのは、1年のうちに1回あるかないかという程度。強盗やひったくりのニュースなんてのもまず見たことがねえ。
 フランス暦の浅い番長の偏見かもしれねえんで、まわりのフランス人にも聞いてみた。やっぱり、そういう報道ってのはほとんどないってことだったぜ。

 新聞も同様だ。日刊紙のパリジャンはまだ事件記事が多く載っている方だが、ル・モンドやリベラシオンなんかを読んでも、テーマ性のある記事やコラム調の記事が多く、事件そのものをストレートニュースとして伝える記事は非常に少ない。新聞のつくりが違うんだと言えばそれまでの話だが、それにしたってほとんどない。
 日本の場合、殺人事件が起きたのに新聞記事にならないってことは、まずないと言っていいだろう。社会面や地域面には、大小様々な事件記事が毎日必ず載ってるぜ。


 なぜ事件報道が少ねえのか。
 フランス人には品のねえ三面記事はお気に召さない? 人の死には興味がないのか?

 んなこたあねえと思うぜ。
 聞いたところでは、フランスの民法や刑法ってのは、不必要なプライバシーの暴露に対しては厳しいらしい。しかし、フランスでも事件事故の報道は実名が基本だ。「不必要」ではないからだろう。
 実際、事故のニュースはよくあるんだ。交通事故とか、遭難とかな。どんだけフランスが個人主義の国だと言っても、人の死はいたましい。この感覚は万国共通なんだろう。

 それに、事件報道の代わりにしょっちゅう目にするニュースがあるんだ。
 行方不明者よ。何とかいう町で何月何日ごろから何とかいう名前の人がいなくなってる、家族がビラ配りをするなど懸命に行方を捜している、ってな具合のニュースだな。



s-enfants_disparus.jpg
(行方不明者の捜索を呼びかけるポスター)



 典型的だったのが、2008年にオーベルニュにある人口1万人強の都市イゾルで起きた、6歳の男の子、アントワーヌくんが失踪した事件。全国紙やテレビの全国ニュースでも盛んに取り上げられていた。
 6歳の子どもがいなくなるだけでも事件ではあるが、さにあらず。
 アントワーヌくんは母子家庭の子で、この母親が身持ちが悪いと評判だったらしいんだな。愛人としけこんでるとか、過去には麻薬密売で逮捕歴があるなんて記事も出てたぜ。テレビじゃ元夫が顔を隠してインタビューに応じてたから、日本のワイドショーも顔負けよ。秋田であった豪憲君事件みたいなもんだな。

 つまり、フランス人も事件に対する興味はフツーにあるわけだ。
 じゃあなんで事件報道が少ないのか。
 番長が考える一番の理由は、警察発表がないことだ。


 日本の場合、大小様々な事件や事故について、警察はマスコミに発表文を流している。新聞やテレビ、通信社だな。各都道府県警本部の中には記者クラブがあって、大きな事件や事故が発生すれば、クラブの中にいるマスコミ各社の記者にも情報が伝えられる。
 こういう仕組みが、フランスにはねえんだな。
 いや、より正確に言うと、例外なのは日本だ。警察という捜査機関が、マスコミに対してこんなに丁寧に発表をしているのは、おそらく日本だけだろう。

 こういう発表をフランスでは逐一したりしねえ。記者が事件自体を知らないから、そりゃ報道も少ないわけだな。
 行方不明者が報道されるのは、目撃証言を集めるためにもぜひマスコミを通じて世間の人に知らせたい、と家族が情報を持ち込むからだ。あるいは、そういう場合は警察がマスコミを頼ることもあるんだろう。
 もちろんフランスでも、警察が懇意の記者に情報を流すことはあるようだ。だが、コンビニ強盗だ振り込め詐欺だってな事件をいちいちそのたびに教えてくれるってわけにはいかねえよな。そのへん、システム化している日本とは全然違うわけよ。
 日本では、長い歴史の中で警察と報道機関がすったもんだを繰り返し、お互いにとって最もストレスやコストのかからない方法が採用されたってことなんだろう。

 そこで大きな役割を果たしてんのが、実は記者クラブなんだな。
 日本の場合、たとえば警察が重要な事件を発表しなかったとする。マスコミ1社が文句を言ってもあらそうですかってなもんだが、記者クラブが加盟するマスコミ全社の総意として抗議するとなると、話が違ってくる。
 影響力も違うし、警察の場合だと、記者クラブが文書で要請したことは警察庁に報告しなきゃならねえという不文律がある。いろいろ面倒くさいことになるんで、だったら最初っから発表しとこうってことになるわな。
 要するに記者クラブってのは、圧力団体なわけだ。
 フランスには、報道各社同士によるこういう形でのヨコのつながりってもんがない。


 日本の記者クラブに対しては、批判をする意見が目立つ。番長も、クラブを大マスコミにしか開いてねえってのは問題だと思うぜ。雑誌メディアやフリーも含めて、すべてのジャーナリストに開放すべきだろう。
 だが、だからと言ってクラブを潰せばいいかというと、そういうわけじゃあねえとも思うんだな。
 事件報道がたくさんあればいいかについては、色々な考えがあると思う。
 しかし、日本の場合、事件報道を見たくなければ見なきゃいいが、フランスでは選択肢がない。知る権利にこたえるって意味じゃ、日本の方が優れてるんじゃねえか。

 さっき例に挙げたアントワーヌ君の事件なんだが。
 失踪から3週間後に急展開があった。母親と愛人、その仲間たち6人が、いっせいに身柄を拘束されたんだな。テレビの全国ニュースでもトップの扱いだったぜ。
 ところが、いったい何の容疑で拘束されたのか、事情聴取で何が聞かれ、彼らは何を答えたのか、地元紙も含めて、報道では一切明らかにされなかった。
 しかも、彼らはそのうちに身柄を解放された。ところが、その理由も報道されずじまい。アントワーヌ君の行方はいまだ杳としてわからねえ。
 そりゃないぜ。日本じゃ考えられねえよな。


 かと思えば、リークでいいように報道機関が踊らされてる様子はあんのよ。
 2009年3月、南仏モンペリエで47歳の男が脅迫容疑で逮捕された、と1チャンネル(TF1)のニュースで報じられた。なんでも、大統領のサルコジや大臣、地元県選出の代議士なんかに、殺害をほのめかすような脅迫状と、直径9ミリの弾丸を同封して送ったんだとか。
 弾丸と言っても殺傷性のあるものではなかったそうだ。それとこの男、精神障害のある疑いがあって、以前別の女性にほとんど同じ内容の手紙を送っていたこともあるとか。逮捕歴もあるそうだ。
 とまあ、事件自体は割とどうでもいいような話なんだが。驚いたのが、頭からジャンパーをかぶって警察に連行される容疑者の様子が、ばっちりカメラに写されてるんだな。こんな映像、フランスじゃまずお目にかからねえよ。

 その後、5チャンネル(フランス5)でやってたニュース一週間まとめ読みみたいな番組でも、この映像のことが取り上げられていた。地元紙にも男が連行される様子はバッチリ写真に撮られていたそうだ。
 これ、警察から事前に「今から逮捕しに行くよ」って連絡がない限り、ゼッタイに撮れねえからな。サルコジを脅すとこうなるってことを知らしめるために、リークがあったんじゃねえかと番長はみてるぜ。
 なんせサルコジには前科がある。前科と言っちゃ悪いか。ともかく、2005年にパリ郊外で移民2世や3世たちが暴動を起こしたとき、治安に当たる警察がそのリーダー格とされる連中を逮捕しに行く様子が何度となくテレビで放映されたんだが、こいつは当時内相だったサルコジのリークだったことが後に明らかになってるからな。

 いや、まいったね。
 日本でももちろんリークはあるさ。あるいは、記者クラブがリークの温床になっているのかもしれねえ。
 しかし、報道なんてのはいずれ、情報を握っている人間からネタを取ってくるって仕事だ。どうやったってリークを離れて存在できるもんじゃないんじゃねえかな。事実、記者クラブのないフランスでもリークはあるんだから。
 だとしたら情報の絶対量が多い方がいい、と番長は思うぜ。




bancho200.gif



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