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2010.05.28 (Fri)

サ・サ・サルコの大爆ショー! ありえない番組

 まいったね。
 大統領サルコジのワンマンショーには、まいったね。


 どこの国の元首もそうであるように、サルコジもしょっちゅう演説をしている。年頭会見なんかをはじめとして、テレビで中継されることも少なくねえ。
 だが、2009年2月5日の夜に番長が見たのは、そういう平凡なもんじゃあ断じてなかった。

 ちょいとこれを見てもらおうか。



s-sarkozytv1.jpg

s-sarkozytv2.jpg

s-sarkozytv6.jpg




 小汚い写真で申し訳ねえ。だが、これなら著作権問題はクリアだな! ハッハッハ。
 映ってるのはおなじみサルコジ陛下だ。だが、注目してもらいてえのは右上スミの部分にある白いマーク。
 これ、各テレビ局のマークなんだな。順に、TF1、フランス2、M6。
 同じサルコジの映像だが、それぞれ別の放送局で流されたものなんだ。同じ時間にな。

 以前にも触れたが、フランスには地上波のテレビは5チャンネルしかねえ。しかも、上記3つ以外のフランス3とフランス5は、いずれもフランス2と同じ国営放送局の製作。同じNHKの総合と教育みたいなもんだ。
 つまり、真に地上波は乗っ取られたわけわけだな。
 そうなのよ。この夜、サルコジは電波ジャックをした。
 チャンネルをひねってもひねってもサルコジ。分け入っても分け入っても青い山だぜ。
 テレビだけでなく、ラジオ局のひとつもこの放送を流した。4局同時中継ってわけだ。

 新聞を見る限り、日程は急遽決まったようだ。この特番の存在を知らせる記事は前日の4日にようやく出ていた。その週に売られていたテレビ雑誌の番組表には、それぞれの局で別の番組が掲載されていた。
 番長はその夜、「バック・トゥ・ザ・フューチャー3」をM6で見る予定だったんだ。いや、既に見たことはあるんだけどな、前の週の同じ時間に「2」がやってるのをたまたま見たら結構ハマっちまってさ。しかも、次週「3」をやるって予告まであったからよ。見た人なら知ってるだろうが、「2」の終わりって「3」につながってモヤモヤしたままエンディングを迎えちまうんだよな。マイケル・J・フォックスは西部劇の世界でどんな活躍を見せるのか、ドクはいったいどうなっちまったのかって、ひそかに楽しみにしてたのよ。それがパー、ってわけよ。
 結局この後、バック・トゥ・ザ・フューチャー3が放映されることはなかったぜ。なにしてくれんだよ、サルコジ。番長の胸のモヤモヤ、どうしてくれんだよオイ!


 このころフランスでは、全土で100万人以上が参加する大規模なストとデモがあった。サルコジのテレビ出演はこれに応えたもの、とされていた。
 サルコジの政策は保守的で、と言っても新しいことをしないという意味ではなく、ごくザックリ言って、大企業により富を多く配分して社会に還元するというやり方をとっている。ストを起こしたのは労働組合で、不況でえらいことになってるぞ、労働者や中産階級の利益を守れ、雇用の安定と失業者対策をしっかりしろ、と求めたわけだな。
 まあ古典的な対立構図ではある。
 このサルコジ特番、午後8時15分から90分間で、番組名は「face a la crise(危機に直面して)」。サルコジに対して4人のジャーナリストが質問をする、という触れ込みだった。

 しゃあねえ、他の選択肢は奪われちまったってんで、番長も見たんだが。
 まあビックリよ。驚くことばかりだったぜ。

 と言っても、サルコジの発言が斬新なんで驚いたんじゃねえ。
 まずは、いかに大統領が話すとは言え、地上波全局が同じ番組を流すということ自体にびっくり。独裁国家かよ。


 で、大統領に相対する4人のジャーナリストって誰かなと思いきや、各局のニュース番組に出演しているキャスターたちだった。テレビ3局とラジオ1局、それぞれから1人ずつ送り込まれてるんで、4人いるわけだな。
 TF1とフランス2は午後8時から約30分のニュース番組を毎日やっていて、そのニュースキャスターだった。正直言うと、ちょっと胸踊るものがあったな。この8時のニュースってのはフランスのテレビ報道部門では看板、花形なのよ。言ってみりゃ、筑紫哲也と久米宏が同じスタジオにいる感じだな。……あー、今で言えば、まあ安藤優子と古舘伊知郎ってとこか。この二人が並ぶなんて普段ありえないだけに、何が起きるかと期待させるものがあったぜ。
 M6は普段、音楽やバラエティ番組に力を入れている軟派な局なんだが、来ていたのは経済番組のキャスター。もう一人はラジオ局の代表で、年季の入ったおじさんだったぜ。

 放送は大統領官邸のエリゼ宮から生放送で行われた。三角形の机が真ん中にドーンとあり、カメラの正面にサルコジ。左側の一辺にTF1とフランス2のキャスターが座り、右側は空席。M6とラジオ局の2人はマイクのないところにいた。
 で、大統領の左側奥にはひな壇があり、男女10人あまりが座っていた。最初は記者かなと思ったんだが、にしちゃあメモを取ったりパソコンを開いたりする様子がない。
 新聞記事によると、なんと観客に模したエキストラだったそうだ。
 要するに、市民、視聴者が熱心にサルコジの言う事に耳を傾けてるってなサマを映像で表現するための演出なんだな。言ってみりゃ書き割りよ。
 番組中にはなんの説明もなかったぜ。
 これだけで日本なら、演出の一言ではすまされないってんで、大問題になりそうだよな。


 番組はキャスター2人の進行で静かに始まった。
 キャスターと書いたが、どっちかと言えばアナウンサーなんだよな。いつ見ても原稿を読み上げているだけで、個人的な意見は一切さしはさまない。
 そういう人のことは日本ではジャーナリストとは言わねえが、経歴を調べてみると、2人とも若いころは雑誌に記事を書いたりしていて、ジャーナリストとしてなんら恥じるところのない活動をしているようだ。
 なるほど、普段のニュースでは時間も限られているし、自分の意見を殺しているのかもしれねえ。となれば、こういう番組なら丁々発止のやりとりをしてくれるのかな。
 ……そんな期待もむなしく、サルコジの独壇場、ワンマンショーとなったぜ。

 番組全体を通じて、95%はサルコジがしゃべっているだけだったな。
 途中、M6とラジオの代表は時間を与えられ、交代で右側の席に着いて質問をした。彼らは、特にラジオのおじさんは、サルコジの発言をさえぎる努力はしていた。サルコジはそれでも話すのを止めなかったが、質問内容が鋭かったのかな、時に顔をしかめたりもしていたぜ。
 しかし、TF1・フランス2の2人と対しているときは、まさに立て板に水。ぺらぺらと自分のしゃべりたいことだけをしゃべってたぜ。時折口をはさむ場面もあるんだが、サルコジから何かを引き出してやろうという気持ちがまったく感じられなかった。むしろ寄り添ってるんじゃねえかと思うくらいよ。
 結果として新味のある話は最後までなく、一方的なサルコジ・トークに付き合わされるハメになっちまった。

 左翼系日刊紙のリベラシオンも、翌日の新聞で質問内容に対する不満を取り上げてたぜ。
 このころ、フランスが抱える海外県の一つグアドループでも本土と同じような理由で大規模なストが発生していたんだが、被害の方は比較にならないくらい深刻で、2週間以上にわたって都市機能がほとんど麻痺していた。ところがサルコジはほとんど無視を決め込んでいるかのように何の手も打たず、TV出演したときには改善の兆しはまったく見えていなかった。この件については、2人が司会を務めるニュース番組でも何度も取り上げられていたぜ。
 にもかかわらず、誰もこの件に関して質問をしなかった。聞かれもしねえことをわざわざ答えねえわな、サルコジも。
 同紙では「あのジャーナリストたちは仕事をしていなかった」とする声が紹介されていたぜ。

 だが、それもそのはず。
 右翼系日刊紙フィガロの記事によると、今回の放送にあたって大統領府がいちばん頭を悩ませたのが、相手となるジャーナリスト選びだった、というんだな。
 というのも、ことによってはサルコジは大きく支持率を下げるかもしれない。だから「まじめで、静かで、きちんとした質問をする人をお願いした」と、議員の一人が漏らしたってのよ。ジャーナリストとしちゃあ、こんなに屈辱的な言われ方もねえよな。
 サルコジ側が自分に都合のいいインタビュアーを選んでるってことにも驚くぜ。テメエの都合でねじ込んできた放送だってのに、キャスティングさえ自由にさせねえんだな。唯々諾々と従ってるテレビ局もどうかと思うけどよ。


 他にも驚いたことはある。この番組の間じゅう、コマーシャルが1本も入らねえんだな。
 サルコジに好きなように、できるだけ気持ちよくしゃべらせるようにお膳立てをしてるってことなのかね。
 しかし、TF1とM6は民放だ。フランス2は国営局だが、この当時はCMをきっちり流して収入の足しにしていた。いったいこの分の金はどうなったんだ?
 もし大統領側から出ているとすれば税金だし、テレビ側で負担しているとしたら、公費を負担させられるなんてのはおかしな話だよな。

 さらに、この番組は90分の予定だったんだが、サルコジがしゃべり止まらないんで、なし崩し的に15分くらい延長したのよ。
 こういうことも日本だったら考えられねえだろ、その後の番組編成もあるわけだし。
 すべてがサルコジ優先なのよ。どうなってんだか。

 ちなみにこのサルコジ番組、視聴率は3局あわせて計57%。計約1500万人が視聴したそうだ。フランス人口の4分の1にあたるな。
 もっとも、パリジャン紙の調査では、大統領の発言にガッテンした視聴者は36%にとどまり、52%は納得しなかったそうだぜ。
 サルコジにとって吉と出たのやら、凶と出たのやら。


 いや、まいったね。
 あらゆる点で、日本じゃ成立しない番組だな。
 改めて、フランスでは政治家とメディアの関係が近いってことを感じさせるできごとだったぜ。




bancho200.gif




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