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2010.01.20 (Wed)

魁!コドド塾 添い寝できないフランス

 まいったね。
 コドド問題には、まいったね。


 コドドってなんだか、アンタ知ってるかい?



Flag_of_the_Comoros.jpg
ウィキペディアより)



 そうそう、国旗は5色に塗り分けられてね、左側にある緑地に白い三日月はイスラム教のシンボルでね、右側の4色はそれぞれ島を表していてね、

 って、それはコモロ。アフリカの島国だろうが。



s-Varanus_komodoensis_(2).jpg
ウィキペディアより)



 そうそう、噛まれると死んじゃうような毒を持っててね、体長は3メートルに及ぶこともあってね、ブタなんかひと飲みにしちゃってね、インドネシアあたりによく住んでてね、

 って、それはコモド。オオトカゲだろうがよ。


 なんだよオイ、番長にノリツッコミさせようってのか。やってやるぞコノヤロちくしょう。


 え? ああ、コドドね。
 フランス語ではco-dodoと綴るぜ。dodoってのは睡眠の幼児語だ。日本語で言えば、ねんね、ってとこかな。coってのはまあ、一緒に、くらいの意味よ。

 こいつはつまり、親子、ことに生後間もない赤ちゃんと親が一緒に寝ることなんだな。
 なんでそんなもんが問題なのかと、そう聞くのかい。

 フランスでは大問題なのよ。

 というのも、フランスでは、赤ん坊と親が別々の部屋で寝るってのが当たり前だからだ。
 生後3ヵ月もすればほとんどの親がそうする。中には生後すぐに離れて寝るって家庭もあるそうだぜ。

 もっとも、こいつはフランスに限ったことじゃなく、アメリカやオーストラリア、ヨーロッパの主な国でも行われている習慣だ。
 親子が川の字になって寝る日本じゃ、考えられないよな。


 こうやってさらっと書くとさらっとしてるようだが、なかなかどうして壮絶だ。
 フランス人家庭の様子を垣間見た日本人の方のブログ「Chib'eri」にいい記事があったんで、以下に引用させてもらうぜ。



 「夜10時頃、子供たちは皆寝かしつけられる。最年少のこの赤ちゃん(※引用者注:1歳半)は、個室を与えられていた。ママもパパも一緒には寝ない。彼らの生活はまだ続くからだ。赤ちゃんは、見知らぬ客人が来ているせいもあって、まだ面白いことが起こりそうだから、寝たくない。しかし、ママは、泣き叫ぶ彼をものともせず、寝巻きを着せていく。この寝巻き、繭みたいな作りになってて、足は2本を束ねて入れて、ファスナーで首元まで閉める仕組みになっている。赤ちゃんは抜け出たくても抜けられない。当然、歩けない。

 繭に入れられた後、ベビーベッドに寝かしつけられた彼は、ワンワンと泣き叫ぶ。しかし、"Bonne nuit(おやすみ)"と言って、キスをし、ママは部屋の電気を完全に消し、ドアを閉めた。泣き声は15分くらい続いていたが、"まだ泣いてるわねぇ"くらいの反応で、後はリビングで大人たちの談笑の時間だ。泣き声もそのうち止み、我々はクラブへと繰り出した。入れ替わりに近所に住んでいるベビーシッターのいかにも優しそうな女性が留守を守ってくれていた。

 フランス人の子供たちはこんな赤ん坊の頃から、「夜は寝る」というルールを通じて、独りで真っ暗な部屋に寝ることに慣らされるそうだ。子供が泣いたら手を差し伸べてやらなければ、という日本の育て方とは随分違う。

 (記事全文はこちら




 おそらく大方の日本人には、なかなかこういう子育てはできないんじゃねえか。


 ここで言う「繭」とは、おそらくジゴトゥーズのことだろう。
 地獄の底から現れ出てきたオードリーの春日がノドふるわせてご挨拶って感じの響きだが、どっこいこんなカワイイ代物だ。



gigoteuse.jpg
cherchons.comより)



 gigoteuse(ジゴトゥーズ)、別名turbulette(テュルブレット)とも呼ぶ、赤ん坊専用の寝間着というか寝袋。日本で言うところの「おくるみ」だな。


 フランスでは、赤ん坊には掛け布団を使わない。窒息の可能性を防ぐためだそうだ。そこでこのジゴトゥーズの出番となる。こいつにくるまってりゃ、布団なしでもあったかいってわけだ。
 モノにもよるが、こいつには紐が付いていて、マットレスなんかに結わえ付けることができる。そうすりゃ寝返りもうてねえし、起きあがることだってできなくなるんだな。


 なぜそこまでして別の部屋で寝るのか。コドドを避けるのか。
 理由はいくつかあるらしい。



(1)子どもの自立を阻害する

(2)夫婦の生活が侵害される

(3)近親相姦を思わせる

(4)押しつぶして窒息させる危険がある

(5)乳幼児突然死症候群(SIDS)が起こりやすい




 どうも日本人の感覚にはそぐわねえ。ちと検証してみようか。


 フランス人というか西洋人がコドドをしないのは、(1)の理由が一番大きいようだ。
 だが、日本人だってしっかり自立してるよなあ。
 むしろフランス人の方が、特に男は何かと言えば、ママン、ママン、っつって母親に甘えてるような気がするぜ。


 (2)、こいつはフランス人ならではの考え方かもしれねえな。なんにせよフランス人ってのはカップルって単位が一番大事なのよ。
 日本に限らず、子どもが生まれた後の家庭ってのはフツー、子どもが中心になるもんだがな。善し悪しはまあともかくとして。


 (3)は論外だろう。番長には意味がわからん。欧米ではベッドで一緒に寝るってのはセックスをすることと同じなのか?

 (4)だが、専門家の話によると、母乳育児中の母親は赤ん坊と睡眠パターンが似るため、眠りながらでも赤ん坊の様子に敏感になることから、そう心配はないそうだ。寝ていてもうちわの動く親心って言葉は、まんざら冗談でもないんだな。ただし、酔っぱらっているとその制御はきかなくなるそうなんで要注意。

 (5)はまことしやかに言われちゃいたが、統計的・科学的な根拠に乏しいことがわかっている。


 さらに掘り下げると、他にもこんな背景があるようだ。


・母乳による育児が一般的ではない


 母乳はミルクに比べると、授乳回数が多くなるそうだな。となれば赤ん坊は母親のそばに置いておくのが一番ということになる。
 逆に言えば、そういう事情がないから遠くに置いておけるんだな。


・出産後3ヵ月もすると復職する母親が多い


 この話はまた改めて書こうと思うんだが、フランスってのは専業主婦でいることが非常に難しい社会だ。ほとんどの女性が働いている。
 仕事へ出るということは、家を空けるということだ。これも、赤ん坊が母親なしでも寝られるようにしたい、という心理には影響するだろう。母乳で育てない理由にもなるんだろうな。


 そんなフランスでも、最近揺り戻しの動きがある。
 赤ん坊に添い寝する母親が、じわじわと増えつつあるって言うんだな。(参照:日刊紙ル・モンド記事


 西洋においても、母親がコドドをしなくなったのは最近のことで、せいぜい1~2世紀くらいのこと。それまでは川の字になってたんだそうだ。
 で、現在でもアジアやアフリカではみんな赤ん坊と一緒に寝ている。
 コドドを避けるのは不自然なんじゃないか、もっと赤ん坊のそばで寝たいという声が、フランスの女性からも上がり始めたんだな。


 いや、まいったね。
 番長、ここでどっちがいいという論評をすることは避けたい。
 各家庭で好きなようにやってくれりゃあいいのよ。
 親はなくとも子は育つって言うだろ。日本人もフランス人もおおむね真っ当に育ってるじゃねえか。コドドをしようがしまいが、関係ねえさ。


 ただまあ、フランス人をはじめとする西洋人と結婚しようとしている御仁は、覚悟を決めておいた方が良いかもしんねえ。
 たいていの場合はケンカになるようだからな。



※この問題に関して詳しく知りたい人は、「世界子育てネットSweetHeart」の記事が参考になるぜ。



bancho200.gif



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11:14  |  俺節フランス  |  トラックバック(0)  |  コメント(6)  |  編集  |  上へ↑

*Comment

■ドイツでも

友人宅を訪問、1歳半の女の子でしたが、暴れても叫んでも完全放置。
「いつか泣き疲れて眠るからいいの」だそうで。
その子の上にはお兄ちゃんがいて、当然別の部屋があてがわれていまして、
1人一部屋わりあての環境にカルチャーショックをうけたものでした。
あ~、それであんなに自己主張の強い人間に育つんだな~とも納得した、
世界は広いな。
フランス番長さん、これからも才気あふれる記事を楽しみにしています。
もが |  2010.01.20(水) 12:59 |  URL |  【コメント編集】

この赤ちゃんのお洋服、初めて拝見しました。どうなんですかね、カナダでもケベックだとこれ、普通に出回ってるんですかね。あとですね、日本人でフランス系カナダ人の旦那さんのいる方が、子供が赤ちゃんの頃、無理矢理子供から引き離されて外に働きに出されて泣いていた、という噂話も耳にした事ありますよ。私だったら泣きませんけどね。泣く暇があったらきっちり自論展開、自己主張しますね。
くらら |  2010.01.20(水) 14:37 |  URL |  【コメント編集】

■アンシャンテだぜ、もがさん!

 ほほう、ドイツでもやはり赤ん坊は別室なんだな。まあ、100年なりの歴史があるんだから、それなりにノウハウも蓄積されてるってことなんだろう。実際、西洋風の育児の方が強い人間は育つのかもしれねえな。他方、「アジアやアフリカでは添い寝をしてる」ってなモノの言い方をされると、お前らまたこっちを下に見てやしねえかい、と邪推をしないでもないよな。
 お褒めの言葉に預かって光栄だぜ。ご期待に添えるかどうか保証はしかねるが、今後ともキャトル・シス・キャトル・ヌフ!
フランス番長 |  2010.01.20(水) 23:03 |  URL |  【コメント編集】

■くららさん、押忍!

 毎度どうも! 本文中にも書いたが、育児法なんてのは人それぞれだし、好きにしてくれりゃあいいのよ。母ちゃんも強くなんなきゃな。ただ、この手の話ってのはどうかすると、神話や宗教がかった話になりがちなんで困るぜ。母乳で育てるってのにしても、やりたきゃやればいいが、どっちでもいい話。日本だとむしろ母乳じゃなきゃ絶対ダメだなんて言う人もいて、それはそれで困ったもんだぜ。
フランス番長 |  2010.01.20(水) 23:06 |  URL |  【コメント編集】

こんにちは。
なんか、番長さんのこの話を聞いてすぐ浮かんだのは、ルソーのエミールなんですが。やっぱりルソーがフランスのこども教育に影響してる部分はあるのかもしれないなあと、ブログの話を見て思いました。確かに、赤ん坊に対してだけじゃなくて、フランスのお母さんたちの、ちびっこに対する話し方は全然甘ったるくないですよね。たぶんこれは私も、個人主義というよりかは、教育方針として母親があえてしてるんじゃないかなとも思いました。

でも、
日本に比べてフランスの方の結構大半は、すごい独占欲が強いと感じませんか。というか極端で、あんまり近付かないか、仲良くなったらめちゃベッタリか、みたいな。男女関係もさながら、女性同士でもそんな感じが否めないような。ジェラシーがすごまじいというか。

個人的には、自己の意見をちゃんとはっきり言える能力がつくのはむしろ教育制度の影響だとも思えて、なので、小さいころの記憶だとかは関係ないような気もするんですが、もっとメンタルな私的な人間関係にはむしろ(とくにフランスでは)かなり後々の自立能力に(マイナスの意味で)影響してるんじゃないかなとも思います。
ちは |  2010.01.21(木) 05:59 |  URL |  【コメント編集】

■ちはさん、押忍!

 エミール……わりいな、番長読んだことねえよ(笑)。
 確かにフランスの母親は子どもに対して厳しい。これについては、今の日本が甘くなりすぎてるって面もあるような気がするがな。そして独占欲が強い。これも同感だねえ。個人主義の裏返しなのかね。興味のないその他大勢に対する態度と、家族や友人に対する態度がぜんぜん違う。単に社会性が低いだけなんじゃないかって気がしないでもないが、たとえば犬の糞に見られる公徳心の低さともつながってるのかもしれねえな。

 で、さてこのへんと子育ての関係だが。もちろん門外漢の番長にはあるともないともわからねえが、夜になるとお母さんがいなくなっちゃう、怖い、てな感情が仮に刷り込まれてるとしたら、そうならないように大事な人は自分の手元に置いておかなきゃいけねえと本能的に感じている、だから独占欲が強くなる、なんてことは言えそうだな。

 ただまあ、フランス以外にも西洋じゃおしなべて似たような子育て方法を取っているわけだよな。それでいてメンタリティにこうも違いがある、たとえばドイツとフランスなんて顕著だと思うが、となってくると、また別の要因もあるんだろうけどな。
フランス番長 |  2010.01.21(木) 20:51 |  URL |  【コメント編集】

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