2010.02.02 (Tue)
コキュはフランス語じゃなく、ベトナム語でもなかった!か?
前回の続き。
番長、まいってんのよ。
cocue(コキュ)はフランス語じゃなくベトナム語だ!と大見得を切っちまったんだが。
ベトナム語の辞書にそのcocueって単語が見つからねえってんで、オタオタしてるところだ。
いや、ちょっと待ってくれ。
ベトナム語に「cocue」の5文字でひとつながりの単語が存在し得ないということは、番長にも予想できた。
というのも、ベトナム語はアルファベットの皮こそかぶっちゃいるが、もともとは中国語系の言語だからな。
たとえば「ベトナム」って単語は漢字で「越南」と書く。この発音をアルファベットで表したものが「Viet Nam」ってことになる。
つまりは中国語のピンイン、日本語ならローマ字に相当するってとこだな。
ということは、もしこれがベトナム語だとすれば、「co」と「cue」に分かれると考えるのが自然だ。たぶん。
そのセンで調べてみたぜ。
結論から言おう。
どう調べてもない! 見つからん!
ただ、こりゃ手に負えんとも思った。
というのも、coという単語だけで、oの部分につく声調によって16通りに表記が分かれ、それぞれ意味が違うんだな。(参照)
こうなりゃベトナム語に詳しい人に聞くしかないだろう。
番長、またもや検索したぜ、インターネットの海を。ドンブラコドンブラコと、ベトナム語の専門家を探してイカダの漂流記よ。
メールアドレスが載せてあった人に、もちろん番長は一面識もないが、失礼も顧みずに質問メールを送りつけちまった。こんな文面でな。
いやホント、ぶしつけ極まりないよな。
ところが、こんな愚連隊のメールに返事をよこしてくれた方が、3人もいらっしゃったのよ。
人の優しさが身にしみるじゃあねえか。
以下にその回答を、かいつまんで紹介させてもらうぜ。
●みんなが知ってる有名大学の、ベトナム語を研究している教授
●ベトナム語について非常に詳しいサイトの主催者さん
●ミクシィのベトナム語コミュニティで、質問トピックに対する回答
これではっきりした、と言っていいだろう。
「co」と「cue」で区切ろうが、そういう言葉はベトナム語には存在しないんだな。
ベトナムでコキュって言葉をたまたま耳にして付けた、ってセンも薄くなった。
こりゃ、純粋に音の響きだけでつくった造語なんだろうか。
でもよ、そいつはちと困るのよ。
番長、「勝手にフランス語と解釈するオマエはフランス脳だっ!」とか言っちゃったのよ。したり顔で人差し指を突き出しちゃったのよ。メンツを重んじる番長として、フランス語じゃあなかったけどベトナム語でもありませんでしたテヘっでは、もう済まされねえのよ。引き返せねえのよ。ねえ何とかしてよ。
追い込まれて番長、ハタと思いついた。
ベトナムって言えば、フランスの植民地だった時期もあるじゃねえか。
だからあの国は、パンとコーヒーがうまいもんな。
日本に「日本語英語」があふれているように、ベトナムにも原義を失ったフランス語が存在するなんてことはないだろうか。
すがるような思いで、返事を下さった方のうち2番目の、ベトナムサイト主催者の方に重ねて質問してみたのよ。
こんな答えが返ってきたぜ。
……そうか。ガッ、クシ。
番長の面目は丸っつぶれとなることが決定したぜ。
骨は拾ってくれよな。
だがしかし、だがしかしだ。
ここで終わっちゃあ番長の名がすたるってもんよ。
まずは、できる範囲でコキュというブランドについて調べ直すことにしたぜ。
前回もちょろっと触れたように、コキュはベトナム雑貨店として、1996年に代官山で産声を上げた。
そういえばあったよな、ベトナム雑貨ブームというか、ベトナムブーム。猫も杓子もベトナムベトナムってなあ。
番長がベトナムに行ったのはたまたま1998年だったが、あのころのベトナムは日本人の女子だらけだったよ。
最盛期はどうも2000年ごろだったようだから、コキュは先駆け的存在だったってことだな。
きっと経営者のセンスが良かったんだろう。
実際バカみたいに儲かったようで、このころのコキュは日の出の勢い。売り上げは前年度比で350%増の20億円、なんていう数字を叩きだしている。
1998年4月にできた2号店の名前は「コキュ・デップ」。その後は破竹の勢いで店舗網を広げ、99年7月の時点で既に11店舗を持つに至っている。「コキュ・アージュ」という店舗もあったようだ。
で、あんまり売れるもんだから、ブランドを細分化させていたようだ。
メンズブランドは「コキュ・デップチャイ」。少し大人の女性向けが「コキュ・エム」。コキュ風インドを展開するのが「コキュ・タージ」。
とまあ、ここまでさらっと書いてきたが、妙な名前がいっぱいでてきたよな。
順に解析してみようか。
「コキュ・デップチャイ」(cocue dep trai)。このデップチャイというのは完璧なベトナム語だ。ハンサム・イケメンの意。メンズブランドに冠されるのも合点がいくぜ。
「デップ」だけだと「美しい」「気持ちよい」「きれい」といった意味になるそうだ。
それから、「コキュ・エム」(coque em)。このエムもどうやらベトナム語のようで、辞書によれば「妹・弟・年下の子ども・目下の人に対する呼び名, (夫婦・カップルで)女性の呼び名, (飲食・店での)店員への呼び名/隠す/やわらかい, 軽やかな, 静かな, 穏やかな/魔よけをする」だそうだ。まあ、このへんのどっかから取ったんだろう。
ここまではいい感じにベトナム語だった。
わからないのが「コキュ・アージュ」(cocue age)と「コキュ・タージ」(cocue taj)。「age」と「taj」に該当するベトナム語は存在しない。
だが、タージはピンとくるよな。インド風の商品展開だってとこもあわせて、泣く子も黙る世界遺産「タージ・マハル」のタージから取ってるんだろう。ヒンディー語で王冠という意味だそうだ。
気になるのはアージュの方だ。
これは番長から見ると、いかにもフランス語っぽい。年齢を表すアージュという単語があるというのもそうだが、コキュとアージュでコキュアージュ、coquillage。貝とか貝殻って意味のコキアージュに、音の響きとしてはすごく似てるんだよな。
どうだい。
ワールド社が言葉の響きから付けたと言ってたのが、ようやく実感を伴って理解できてきたような気がするじゃねえか。
コキュってのが何語かはひとまず置くとして、その後ろにくっついてる言葉はベトナム語だったりヒンドゥー語だったり、あるいはフランス語っぽかったりしてる。
要するに、なんでもアリの様相なんだな。
日本では縁日の屋台に、りんごあめや焼きそば、鯛焼きといった昔なじみの面々に加え、チョコバナナにフランクフルト、さらにはチヂミや点心、ドネルケバブあたりが定番化しつつあるようだが、そんな感じって言うかよ。
さて、コキュ社の昔話に戻ろうか。
ブームに乗って売り上げを伸ばし、順風満帆に見えた経営だが。
まさかの急転直下が待っていた。
2001年1月、約2億8000万円の所得を隠して約9600万円を脱税していたとして東京国税局に告発され、社長は法人ともども起訴。
同年11月に東京地裁で社長は懲役1年2ヵ月執行猶予3年、法人は罰金2400万円の判決を受けた。
そして判決の2ヶ月後、2002年1月、ワールド社に買収されるわけだ。
なるほど、そりゃ店長も店員もワ社には残ってないわけだな。
驕れる者は久しからず、だねえ。
ところがこの社長、これであきらめたわけじゃねえ。
今はまた別のブランドを立ち上げ、表参道に店を構えてるんだな。
この店の名前、なんていうか知ってるかい。
聞いて驚くなよ。
「QUICO」と書いて「キコ」と読むんだ。

(キコのウェブサイトより)
コキュからキコへ、だと。
こいつはコキュへの未練なのか、はたまたこの社長は元来こういう響きの音が好きなのか。
番長、このキコにも電話して聞いてみたよ。
マメだねオレも、実際。
だんだん、ここの社長の発想法が読めるような気がしてくるじゃねえか。
一応ことわっておくが、キコの店内にポルトガルの商品があふれてるかっていうと、全然そんなことはないんだぜ。
多国籍というか無国籍な感じの品揃えになっているようだ。
番長、ポルトガル語の辞書も調べてみたぜ。
quicoなんて言葉は出てこねえよ。メキシコで人気のテレビドラマの登場人物名くらいしか出てこねえよ。
ついでにスイートコーンをポルトガル語でどう書くのかも調べてみた。
スイートはよくわからんかったが、コーン、つまりとうもろこしのことは「milho」(ミルホ)と呼ぶそうだぜ。
……なめとんのかコラ!!
テキトーに名前を付けてやがんな?
ここで白状するけどよ、コキュについてウェブ上を検索してるときに、おかしな記述を見かけちまったんだよなあ。
そんなもんねえよ。
ものの本によれば、コキュの語源はカッコウ(coucou、クク)から来てるそうだ。
カッコウのメスってのは他の鳥の巣に卵を置いていって、その鳥に子育てを代わりにやらせる習性があるそうじゃねえか。
そのへんが転じて、寝取られるって意味になったんだとよ。
番長、上記の記述はコキュのファンが勝手に解釈したもんだと思ってた。
実際、往時は芸能人もこぞって身につけたというコキュだからな。そういうミーちゃんハーちゃんがいたって一向におかしくねえ。
だが、キコがスイートコーンだと言い張る姿勢を見てると、これも店側が言い張ってた話として、あり得なくはないような気がしてくるんだよな。
つまり、cなり「コ」の音ではじまる響きのいい適当な単語をフランス語の辞書で探していたら、たまたまcocueに行き当たったっていう可能性な。
かてて加えて、意味を勝手に取り違えていた可能性な。
結局、明らかになったことは一つだけだったようだな。
意味を追求するだけムダだったって、ことだ。
番長の、番長の時間は、労力は……。
いや、まいったね。
ここまで長々と付き合って読んできたアンタも、まいったろ。
オチなんかないからな。
今回は本気で、号泣!

番長、まいってんのよ。
cocue(コキュ)はフランス語じゃなくベトナム語だ!と大見得を切っちまったんだが。
ベトナム語の辞書にそのcocueって単語が見つからねえってんで、オタオタしてるところだ。
いや、ちょっと待ってくれ。
ベトナム語に「cocue」の5文字でひとつながりの単語が存在し得ないということは、番長にも予想できた。
というのも、ベトナム語はアルファベットの皮こそかぶっちゃいるが、もともとは中国語系の言語だからな。
たとえば「ベトナム」って単語は漢字で「越南」と書く。この発音をアルファベットで表したものが「Viet Nam」ってことになる。
つまりは中国語のピンイン、日本語ならローマ字に相当するってとこだな。
ということは、もしこれがベトナム語だとすれば、「co」と「cue」に分かれると考えるのが自然だ。たぶん。
そのセンで調べてみたぜ。
結論から言おう。
どう調べてもない! 見つからん!
ただ、こりゃ手に負えんとも思った。
というのも、coという単語だけで、oの部分につく声調によって16通りに表記が分かれ、それぞれ意味が違うんだな。(参照)
こうなりゃベトナム語に詳しい人に聞くしかないだろう。
番長、またもや検索したぜ、インターネットの海を。ドンブラコドンブラコと、ベトナム語の専門家を探してイカダの漂流記よ。
メールアドレスが載せてあった人に、もちろん番長は一面識もないが、失礼も顧みずに質問メールを送りつけちまった。こんな文面でな。
突然メールいたします無礼を、どうぞご容赦下さい。
ベトナム語に関して知りたいことがあり、さりとて周囲にベトナム語に詳しい人はおらず、ウェブサイトを検索しましてメールアドレスを知るに至りました。
お聞きしたいのは、「cocue」(コキュ)という言葉についてです。
これは、あるアパレルのブランド名です。
(中略)
そこで、ベトナム語辞書を調べてみました。
ところが、「co cue」で該当する言葉は、私の調べ方が悪かったのかもしれませんが、存在しませんでした。
とは言え、私はベトナム語に関してはずぶの素人でして、ベトナム語の辞書を手に取ること自体が初めて。果たして音を「co」と「cue」で区切って良かったのか、発音記号などをどう調べてよいものなのか、などがよくわからなかったというのも事実です。
以来、このことが気になって仕方ありません。
ぶしつけなお願いであることは重々承知致しておりますが、ベトナム語にお詳しい○○××さんに以下の3点についてご意見を伺えればと思い、ずうずうしくもメールをしたためた次第です。
(1) この「cocue」というブランドの語源をご存じでしょうか。
(2) ベトナム語に「cocue」という単語はありますか。
(3) このような質問が成立するのかどうかすらわかりませんが、ベトナム語で「cocue」といった場合、どのような響きで聞こえるものでしょうか。快活なとか、かわいらしいであるとか……。
お時間がないようでしたら、このメールはそのままお捨て置き下さい。
もしよろしければ、いつでもかまいません。ベトナム語にそういう単語は存在しない、の一言でも結構です。お返事をいただければ幸甚に存じます。
いやホント、ぶしつけ極まりないよな。
ところが、こんな愚連隊のメールに返事をよこしてくれた方が、3人もいらっしゃったのよ。
人の優しさが身にしみるじゃあねえか。
以下にその回答を、かいつまんで紹介させてもらうぜ。
●みんなが知ってる有名大学の、ベトナム語を研究している教授
手短に回答させていただきます。
(1) このブランドの語源については知りません。
(2) ベトナム語にはこのような単語はありません。「co」のスペルの単語はありますが、「cue」の綴りはありません。
(3) いちがいには言えません。
●ベトナム語について非常に詳しいサイトの主催者さん
(1) わかりません。フランス語ではおっしゃる通りだと思いますが……。
(2) 残念ながらないですね。
(3) 「co」(コと発音します)の綴りはベトナム語にあります。声調(6声調あります)によって意味は変わりますが、持っている・Miss・古いなどの意味です。
「cue」はベトナム語にはありませんが、無理して読めば「クエ」です。
アパレルのブランド名である「cocue」の語源は、ベトナム語じゃないでしょうね。ふざけて仏語から借用したのではないでしょうか?
●ミクシィのベトナム語コミュニティで、質問トピックに対する回答
(1) 存じません。
(2) ございません。ベトナム語だとすればご推察通り「co」「cue」と区切るしかないのですが、「cue」あるいはこれらに声調記号を加えた単語はベトナム語にはありません。(queはあります)
(3) カタカナ書きすれば「コー・クェ」でしょうが、分かち書きせず1語として表記されていれば西欧語風に「コキュ」あるいは「コクゥ」と読む方がむしろ自然ではないかと思います。音の響きの印象はベトナム人ではない小生には何とも言えませんが、一般的に「キュ」という拗音は可愛らしいのではないでしょうか。
これではっきりした、と言っていいだろう。
「co」と「cue」で区切ろうが、そういう言葉はベトナム語には存在しないんだな。
ベトナムでコキュって言葉をたまたま耳にして付けた、ってセンも薄くなった。
こりゃ、純粋に音の響きだけでつくった造語なんだろうか。
でもよ、そいつはちと困るのよ。
番長、「勝手にフランス語と解釈するオマエはフランス脳だっ!」とか言っちゃったのよ。したり顔で人差し指を突き出しちゃったのよ。メンツを重んじる番長として、フランス語じゃあなかったけどベトナム語でもありませんでしたテヘっでは、もう済まされねえのよ。引き返せねえのよ。ねえ何とかしてよ。
追い込まれて番長、ハタと思いついた。
ベトナムって言えば、フランスの植民地だった時期もあるじゃねえか。
だからあの国は、パンとコーヒーがうまいもんな。
日本に「日本語英語」があふれているように、ベトナムにも原義を失ったフランス語が存在するなんてことはないだろうか。
すがるような思いで、返事を下さった方のうち2番目の、ベトナムサイト主催者の方に重ねて質問してみたのよ。
こんな答えが返ってきたぜ。
フランス語の単語を借用するケースはあります。例えば「駅」。仏語は「Gare」、これがベトナム語になって「nha ga」(ニャ ガ)。
しかし……「cocue」はベトナム語にはなっていないようですよ。
……そうか。ガッ、クシ。
番長の面目は丸っつぶれとなることが決定したぜ。
骨は拾ってくれよな。
だがしかし、だがしかしだ。
ここで終わっちゃあ番長の名がすたるってもんよ。
まずは、できる範囲でコキュというブランドについて調べ直すことにしたぜ。
前回もちょろっと触れたように、コキュはベトナム雑貨店として、1996年に代官山で産声を上げた。
そういえばあったよな、ベトナム雑貨ブームというか、ベトナムブーム。猫も杓子もベトナムベトナムってなあ。
番長がベトナムに行ったのはたまたま1998年だったが、あのころのベトナムは日本人の女子だらけだったよ。
最盛期はどうも2000年ごろだったようだから、コキュは先駆け的存在だったってことだな。
きっと経営者のセンスが良かったんだろう。
実際バカみたいに儲かったようで、このころのコキュは日の出の勢い。売り上げは前年度比で350%増の20億円、なんていう数字を叩きだしている。
1998年4月にできた2号店の名前は「コキュ・デップ」。その後は破竹の勢いで店舗網を広げ、99年7月の時点で既に11店舗を持つに至っている。「コキュ・アージュ」という店舗もあったようだ。
で、あんまり売れるもんだから、ブランドを細分化させていたようだ。
メンズブランドは「コキュ・デップチャイ」。少し大人の女性向けが「コキュ・エム」。コキュ風インドを展開するのが「コキュ・タージ」。
とまあ、ここまでさらっと書いてきたが、妙な名前がいっぱいでてきたよな。
順に解析してみようか。
「コキュ・デップチャイ」(cocue dep trai)。このデップチャイというのは完璧なベトナム語だ。ハンサム・イケメンの意。メンズブランドに冠されるのも合点がいくぜ。
「デップ」だけだと「美しい」「気持ちよい」「きれい」といった意味になるそうだ。
それから、「コキュ・エム」(coque em)。このエムもどうやらベトナム語のようで、辞書によれば「妹・弟・年下の子ども・目下の人に対する呼び名, (夫婦・カップルで)女性の呼び名, (飲食・店での)店員への呼び名/隠す/やわらかい, 軽やかな, 静かな, 穏やかな/魔よけをする」だそうだ。まあ、このへんのどっかから取ったんだろう。
ここまではいい感じにベトナム語だった。
わからないのが「コキュ・アージュ」(cocue age)と「コキュ・タージ」(cocue taj)。「age」と「taj」に該当するベトナム語は存在しない。
だが、タージはピンとくるよな。インド風の商品展開だってとこもあわせて、泣く子も黙る世界遺産「タージ・マハル」のタージから取ってるんだろう。ヒンディー語で王冠という意味だそうだ。
気になるのはアージュの方だ。
これは番長から見ると、いかにもフランス語っぽい。年齢を表すアージュという単語があるというのもそうだが、コキュとアージュでコキュアージュ、coquillage。貝とか貝殻って意味のコキアージュに、音の響きとしてはすごく似てるんだよな。
どうだい。
ワールド社が言葉の響きから付けたと言ってたのが、ようやく実感を伴って理解できてきたような気がするじゃねえか。
コキュってのが何語かはひとまず置くとして、その後ろにくっついてる言葉はベトナム語だったりヒンドゥー語だったり、あるいはフランス語っぽかったりしてる。
要するに、なんでもアリの様相なんだな。
日本では縁日の屋台に、りんごあめや焼きそば、鯛焼きといった昔なじみの面々に加え、チョコバナナにフランクフルト、さらにはチヂミや点心、ドネルケバブあたりが定番化しつつあるようだが、そんな感じって言うかよ。
さて、コキュ社の昔話に戻ろうか。
ブームに乗って売り上げを伸ばし、順風満帆に見えた経営だが。
まさかの急転直下が待っていた。
2001年1月、約2億8000万円の所得を隠して約9600万円を脱税していたとして東京国税局に告発され、社長は法人ともども起訴。
同年11月に東京地裁で社長は懲役1年2ヵ月執行猶予3年、法人は罰金2400万円の判決を受けた。
そして判決の2ヶ月後、2002年1月、ワールド社に買収されるわけだ。
なるほど、そりゃ店長も店員もワ社には残ってないわけだな。
驕れる者は久しからず、だねえ。
ところがこの社長、これであきらめたわけじゃねえ。
今はまた別のブランドを立ち上げ、表参道に店を構えてるんだな。
この店の名前、なんていうか知ってるかい。
聞いて驚くなよ。
「QUICO」と書いて「キコ」と読むんだ。

(キコのウェブサイトより)
コキュからキコへ、だと。
こいつはコキュへの未練なのか、はたまたこの社長は元来こういう響きの音が好きなのか。
番長、このキコにも電話して聞いてみたよ。
マメだねオレも、実際。
番長: ちょっと物を尋ねたいんだが。
キコの店員(以下キコ): はい。
番長: キコってのはどういう意味なのかな。由来や語源があれば教えてほしいんだが。
キコ: あー、ちょっと上の者に聞いてみないとわからないので、お待ちいただけますか。
番長: かまわねえよ。
(暫時あり)
キコ: お待たせしました。あの、ポルトガル語でQからはじまる言葉を探そうってことになって、
番長: (ポルトガル語???)
キコ: これが語感がいいということで決めたそうです。
番長: (やっぱり語感か!) で、ポルトガル語ではどういう意味なのかな?
キコ: それは調べていただくといいんじゃないかと思いますが、なんかスイートコーンって意味らしいですよ。
番長: なるほど、言葉自体に意味はないわけだな。
キコ: そうですね。
だんだん、ここの社長の発想法が読めるような気がしてくるじゃねえか。
一応ことわっておくが、キコの店内にポルトガルの商品があふれてるかっていうと、全然そんなことはないんだぜ。
多国籍というか無国籍な感じの品揃えになっているようだ。
番長、ポルトガル語の辞書も調べてみたぜ。
quicoなんて言葉は出てこねえよ。メキシコで人気のテレビドラマの登場人物名くらいしか出てこねえよ。
ついでにスイートコーンをポルトガル語でどう書くのかも調べてみた。
スイートはよくわからんかったが、コーン、つまりとうもろこしのことは「milho」(ミルホ)と呼ぶそうだぜ。
……なめとんのかコラ!!
テキトーに名前を付けてやがんな?
ここで白状するけどよ、コキュについてウェブ上を検索してるときに、おかしな記述を見かけちまったんだよなあ。
コキュ(cocue)はフランス語で「愛する人」を意味しており、「自分のアイテムに愛情を持って欲しい」という願いが込められている
そんなもんねえよ。
ものの本によれば、コキュの語源はカッコウ(coucou、クク)から来てるそうだ。
カッコウのメスってのは他の鳥の巣に卵を置いていって、その鳥に子育てを代わりにやらせる習性があるそうじゃねえか。
そのへんが転じて、寝取られるって意味になったんだとよ。
番長、上記の記述はコキュのファンが勝手に解釈したもんだと思ってた。
実際、往時は芸能人もこぞって身につけたというコキュだからな。そういうミーちゃんハーちゃんがいたって一向におかしくねえ。
だが、キコがスイートコーンだと言い張る姿勢を見てると、これも店側が言い張ってた話として、あり得なくはないような気がしてくるんだよな。
つまり、cなり「コ」の音ではじまる響きのいい適当な単語をフランス語の辞書で探していたら、たまたまcocueに行き当たったっていう可能性な。
かてて加えて、意味を勝手に取り違えていた可能性な。
結局、明らかになったことは一つだけだったようだな。
意味を追求するだけムダだったって、ことだ。
番長の、番長の時間は、労力は……。
いや、まいったね。
ここまで長々と付き合って読んできたアンタも、まいったろ。
オチなんかないからな。
今回は本気で、号泣!

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テーマ : ファッションブランド ジャンル : ファッション・ブランド
いや、全然参ってないっすよ。かなーり面白いっすよ、番長!しっかし倒産ありーの、牢屋生活ありーの、色々とある意味華やかですねえ。。。極めつけは新しいお店の名前が”キコ”って。私の中では、やんごとなきお方のイメージですがな。。。 まあ何はともあれ、言語というものは本当に奥深くて面白いですねえ。
くらら |
2010.02.02(火) 12:42 | URL |
【コメント編集】
番長のブログ、いつも楽しく、時には感心しながら読ませていただいています。
今回はコキュに振り回されてしまいましたね・・・。でも私はフランスに滞在していますが、コキュの意味を知らなかったのでそれだけで十分興味深い内容でした!後半、番長がコキュコキュ言っている姿を想像して、笑えて仕方がなかった・・・(笑)すみません。これからもフランスの(フランスに関する)いろんなこと、教えてください。楽しみにしています♪
今回はコキュに振り回されてしまいましたね・・・。でも私はフランスに滞在していますが、コキュの意味を知らなかったのでそれだけで十分興味深い内容でした!後半、番長がコキュコキュ言っている姿を想像して、笑えて仕方がなかった・・・(笑)すみません。これからもフランスの(フランスに関する)いろんなこと、教えてください。楽しみにしています♪
ゆう |
2010.02.02(火) 16:56 | URL |
【コメント編集】
お褒めいただき光栄だぜ。しかしまあ、キコまでたどりついて、挙句のあの徒労感ときたらなかったぜ。もっとも、少なくともウェブ上では誰よりも詳しくコキュの謎に切り込んだ自負はあるがな。そんな自負が何の役に立つのかって言ったらなんにもならねえがな! キコって言葉のイメージは番長もくららさんと同様よ。テレビの無い家庭でお育ちになった感じのな。ちなみにコキュの元社長、執行猶予だから牢屋には入ってねえぜ! 一応。
フランス番長 |
2010.02.03(水) 00:32 | URL |
【コメント編集】
アンシャンテだぜ、ゆうさん! 記事を褒めていただき、恐縮しきりよ。
まあしかし今回はまいったね。もうこっちはコッキュコキュでキッコキコなのよ。しまいにゃ自分が何を調べてるのかわかんなくなっちまったぜ。ま、番長今回の記事を通して一番思ったのは、日本にある変なフランス語っぽいものにいちいち付き合っててもしょうがねえなってことよ。
そういや東京にディズヌフソンキャトルって名前の菓子屋があって、1904って表記されてるんだな。これ年号なんだが、普通はミルヌフソンキャトルって言うよなあ。ま、別にいいんだけどよ。
まあしかし今回はまいったね。もうこっちはコッキュコキュでキッコキコなのよ。しまいにゃ自分が何を調べてるのかわかんなくなっちまったぜ。ま、番長今回の記事を通して一番思ったのは、日本にある変なフランス語っぽいものにいちいち付き合っててもしょうがねえなってことよ。
そういや東京にディズヌフソンキャトルって名前の菓子屋があって、1904って表記されてるんだな。これ年号なんだが、普通はミルヌフソンキャトルって言うよなあ。ま、別にいいんだけどよ。
フランス番長 |
2010.02.03(水) 00:40 | URL |
【コメント編集】
COCUEの件を番長にたれこんだいぬです!
前々からの些細な疑問として胸の内に秘めていたものなのですが、まさか番長がここまでやってくださるとは!いぬは深く感動いたしました。番長ありがとう!
前々からの些細な疑問として胸の内に秘めていたものなのですが、まさか番長がここまでやってくださるとは!いぬは深く感動いたしました。番長ありがとう!
いぬ |
2010.02.03(水) 18:37 | URL |
【コメント編集】
おかげさまで番長、だいぶ勉強になったし、こうやって記事のネタにもなったぜ。今後ともあらゆる種類のコメント、謹んで待ってるぜ!
フランス番長 |
2010.02.03(水) 21:50 | URL |
【コメント編集】
番長さん初めまして。
「フランス 離婚」で検索していて(つまりそういう状況です☆)こんな面白いサイトにたどり着くとは… 人生って楽しいなあ。
ところで私のメアドもcocueを使っています。
名前の「ユキコ」をさかさまにした「コキュ」に合わせてCOCUEブランドから綴りを拝借しただけなのですが…
後日フランス語の意味を知ったときには冷や汗が出ました。
(今さら変更も面倒なのでそのまま)
他の記事も全部読ませていただきますね~
これからもフランス番長楽しみにしています!
「フランス 離婚」で検索していて(つまりそういう状況です☆)こんな面白いサイトにたどり着くとは… 人生って楽しいなあ。
ところで私のメアドもcocueを使っています。
名前の「ユキコ」をさかさまにした「コキュ」に合わせてCOCUEブランドから綴りを拝借しただけなのですが…
後日フランス語の意味を知ったときには冷や汗が出ました。
(今さら変更も面倒なのでそのまま)
他の記事も全部読ませていただきますね~
これからもフランス番長楽しみにしています!
知らぬ事とは言え、メアドの件は災難だったな。なに、開き直って話のネタにしちゃどうだい。あるいは、もし「フランス語では~~って意味なのよ」としたり顔で言われるようだったら、「あらベトナム語なのよ」と切り返すとかさ。いずれにせよ、あんまり深く考えたり悩んだりは、するだけムダって感じだぜ。
てなわけで今後とも、キャトル・シス・キャトル・ヌフ!
てなわけで今後とも、キャトル・シス・キャトル・ヌフ!
フランス番長 |
2010.02.04(木) 16:53 | URL |
【コメント編集】
このコメントは管理者の承認待ちです
|
2017.03.29(水) 03:03 | |
【コメント編集】
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